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9月中間期の利益は過去最高に  高田寿一郎株式会社高田工業所社長に聞く


 プラント建設の株式会社高田工業所(北九州市八幡西区黒崎)の9月連結中間決算は、減収となったものの工事の効率化で増収となり、中間期としては営業利益、経常利益が過去最高となった。高田社長に通期、来期以降の見通しを聞いた。
 -中間決算の状況と通期見通しは。
 高田 連結売上高が254億4800万円で前年同期比7・9%減だったが、経常利益は17・0%増の21億4500万円で、営業利益とともに中間期としては過去最高益だった。新規の建設工事は減少したが、大型の定期補修工事が多く、要員配置なども含めて効率的な事前準備をできたことで減収ながら増益を確保できた。通期の連結売上高は前期比6・6%減の485億円、経常利益は同15・6%減の28億5000万円の見込み。前期は下回ると思うが、少し固めの予想で、上ぶれする可能性もある。
 -上期の受注状況は、建設工事が減少してメンテナンスが増えた形で、トータルでは前年上期を3・6%割っているが。
 高田 間違いなく冷え込んで来ている感はあり、顧客筋の設備投資も抑制気味になっているようだ。下期、また来期計上予定の受注案件でも、中止、延期、縮小も少し出始めている。
 ただ、メンテナンスについて顧客に直接話を聞くと、「メンテまで削減するわけにはいかない」とのことで、一部単価引き下げの要請などは来ているが、件数自体はあまり減らないだろう。というのも、プラントの場合、メンテを怠ると重大事故につながる恐れがあるため、単純に「コストがかかるから抑える」というわけにはいかない。
 -来期以降については。
 高田 来上期は、今期と同様に定修で大規模な工事もあり、仕事量は今上期並みを見込めるが、今の時点で下期まで判断するのは難しい。
 ただ、長期的に見ると、メンテの重要性は、さらに増してくると思う。われわれの分野であるプラントの多くは高度成長期に作られ、常に動いてきたものであるから常時メンテが不可欠。加えて根本的に手を入れる必要のある時代に入ってきたといえるだろう。
 -顧客である各メーカーの現状については。
 エレクトロニクス・半導体の分野は急速に落ち込んでいるが、激しい山谷があり、そのサイクルの短さも特徴。基本的には伸びていく分野で、今後も期待できる。製鉄は、プラントが老朽化していることもあり、メンテ中心に需要は底堅い。また、売上規模は大きくないが、原子力分野は当社にとって重要な位置付け。現場の技術レベルはわれわれが扱っている中で最も高度で、技術の向上、維持には不可欠だ。
 -今後の課題は。
 高田 顧客の要求に合わせた施工体制を組むための要員確保だ。外注業者も含め、ベテランの定年退職が増え、現場で熟練の職人を数揃えるのが年々難しくなってきている。技術継承・人材育成は強化しているが、時間はかかる。(詳細は、ふくおか経済2009年新年号「新年抱負インタビュー」に掲載)