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3期連続改善して13・3%に  福岡市のオフィス空室率    シービー・リチャードエリス調べ


 今年6月期における福岡市内のオフィス平均空室率は、前回(今年3月期)から0・2ポイント改善して13・3%だった。空室率の改善は3期(9カ月)連続。
 総合不動産業・シービー・リチャードエリス株式会社の調べによるもので、調査区域は「天神」「赤坂・大名」「渡辺通・薬院」「博多駅前」「博多駅東」「呉服町・川端」「ももち」の7ゾーン。今期は拡張移転や新設のほか、郊外や賃貸オフィスビル以外のビルからまとまった面積帯の需要を確保したビルがいくつか見られた。また、件数は限定されるものの、東京の機能分散やバックアップを目的に、既存の福岡拠点の増床や新設などの震災関連需要も一部顕在化し、空室率改善の一因となった。
 ゾーン別では、7ゾーン中5ゾーンで空室率が改善、2ゾーンで上昇した。特に「ももち」ゾーンは、まとまった面積の貸止め等により対前期比4・3ポイントと大幅に低下した。また、0・9ポイントの上昇を示した「博多駅前」ゾーンは、拠点集約や館内増床により空室消化を進めるビルがある一方で、自社ビルや郊外への集約移転に伴って330平方m(百坪)以上のまとまった面積帯の空室が顕在化し、空室発生面積が空室消化面積を上回ったため結果として上昇した。テナントの動きとしては、コストを重視する傾向に変化はなく、割安感のある優良ビルを中心に需要が増えている。中でも設備スペックの高い築浅のビルの空室消化が進行し、それらのビルを中心に需要の流動性は向上しつつあるが、老朽化したビルや賃料が高止まりしているビルでは空室消化も進まず、稼働率は二極化傾向にある。
 築浅優良ビルを中心に需要の流動性が高まる中、今年は新規供給が限定されており、特に1フロアで2百坪以上を確保できる築浅ビルの希少性は高まっている。同社では「テナントニーズに合致する受け皿が限定されていく中で需要が潜在化し、今後、需給改善のスピードが鈍化する可能性も考えられる」と分析している。