NEWS

  • 地域

16億6千万円かけ次世代燃料電池の研究施設を建設  九州大学    伊都キャンパスに来年3月完成予定


 九州大学(福岡市東区箱崎6丁目、有川節夫総長)は来年3月の完成をめどに、伊都キャンパス(福岡市西区元岡)に4階建ての次世代燃料電池研究施設を建設する。8月下旬の着工で、総工費は16億6千万円。
 次世代燃料電池として期待されている固体酸化物形燃料電池(SOFC)の研究で高い実績を持つ九大の研究チームと民間企業の産学連携で、SOFCの開発と実用化を加速させる。場所は今年3月に造成が完了した九大伊都キャンパスのイーストゾーン(文系地区)の入口近く。建築面積は約8百平方mで、延べ床面積は約3420平方m。各フロアは70平方mの実験室と30平方mの研究室で構成され、それぞれ18室と40室。同施設は経済産業省の「イノベーション拠点立地支援事業」に採択され、総工費16億6千万円のうち11億1千万円の補助金を受ける。
 震災の影響で災害時の電力供給に注目が集まるなか、発電所の電力に頼らない大型分散電源として期待されているSOFCは、電解質にセラミックなどの固体酸化物を使用するため、水素以外の燃料からも高効率発電できる点が特徴。将来的には大型化が期待されており、同施設では世界に先駆けて開発、実用化を目指す。また燃料電池の市場は2020年に世界で約1兆円(経済産業省調べ)が見込まれており、同市場に興味を示すTOTO、京セラ、三菱重工業、日本ガイシなど約10社が研究事業に参加する。九州大学の倉崎高明教授は、「世界中の研究機関が注目し、研究開発の競争が激しい分野だが、九州には伊万里焼などセラミック加工に秀でた企業が多い。同施設を拠点にし、そうした技術と連携を図っていきたい」と話している。