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成長戦略のキーワードを「MICE」に  福岡地域戦略推進協議会    ワンストップの誘致・受入れ体制など整備


 福岡都市圏の地域戦略を産学官民連携で取り組む組織・福岡地域戦略推進協議会(=FDC、松尾新吾会長)は4月17日、福岡市中央区天神2丁目のソラリア西鉄ホテルで13年度総会を開き、今年度の事業計画などを決議した。
 総会には松尾会長はじめ、副会長で福岡都市圏広域行政推進協議会会長の高島宗一郎福岡市長、末吉紀雄福岡商工会議所会頭、石原進福岡経済同友会代表幹事など役員はじめ、会員として参加している行政、地元企業、大学などから約180人が出席した。満場一致で決議した今年度の事業計画では、今年度を「計画実行の年」とした上で、協議会を構成する観光、都市再生、人材、環境、食の5部会が「MICE」(国際会議やイベント)を核にした地域の成長戦略に取り組みたいとしている。
 このうち戦略を全体的に推進する役割を果たす観光部会(石原進部会長)では、医療・医学、アジア、コンテンツ産業、環境、食の6分野を重点的に、誘致から受け入れまでをワンストップ体制づくりに取り組んでいきたいとしている。これを受け、同部会では有識者を交えたMICE活用兼誘拐や名誉大使制度、専門的な人材を目指すMICEアカデミーの開催を計画している。
 そのほか、食をテーマにした食部会(中村仁彦部会長)では、14年秋に福岡市内で食の見本市「フードエキスポ福岡」の実現に向け、関連企業とのネットワークづくりや、対外的な情報発信に取り組んでいきたいとしている。そのほか、都市再生では(1)博多周辺(2)天神・渡辺通(3)ウォーターフロント地区を都心再生エリアと位置付け、街づくりや市の都市計画に意見を反映させていきたいとしているほか、環境部会ではICTを活用したスマートシティ構想、人材部会では英語を中心とした多言語対応ができる人材の確保・育成づくりに力を入れていきたいとしている。
 松尾会長はあいさつで「発足当初から会員数は着実に増え続けている。FDCが掲げるMICEは九経連でも話題になるほど」と現状を述べた上で、「叡智と行動力を結集し、東アジアのビジネスハブの実現に取り組んでいきたい」とあいさつした。
 FDCは11年4月に設立。福岡都市圏の将来像を「東アジアのビジネスハブ」、戦略指針を「交流活性化による質を重視した成長を図る」とした上で、2020年までに都市圏GRP(域内総生産)2兆8000億円増、雇用人口6万人増、都市圏人口7万人増の実現を目指す。今年4月時点の会員数は83団体(正会員56、特別会員6、賛助会員8)。FDC事務局や福岡市の関係者によると、産学官民連携で地域の将来像を考え、実行する動きはFDCのほか、全国的に活動する動きはないと見られていないという。昨年末に発足した第2次安倍内閣で復活した経済財政諮問会議でも注目され、現在進行中のアベノミクスの成長戦略にも「地域の活性化」、「都心再生」の先進事例として国の政策に反映されることも期待されている。