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受注環境の見通しは今後も良好 髙田寿一郎㈱高田工業所社長


週刊経済2023年12月26日発行号

EPC、新技術への取り組みも

―9月までの第2四半期は減収増益だった。
髙田 昨年は大型の建設工事が完工したため、この上期、減収ではあったが、予想以上に追加工事が入ったり、下期に計上する予定の案件が上期に上がったりしたことで計画値を上回り、通期予想も上方修正した。ただ、通期の減収減益予想は今のところ修正していない。売上高を底支えしたのは半導体、エレクトロニクス関係の増加、増益は売上高の上振れに加えて、人件費などコストも予想ほど上がらなかったことによる。
―今期の受注状況は。
髙田 おおむね良好。また、今後の見通しとしての情報量もまずまず潤沢で、エレクトロニクス分野の投資は右肩上がり、石油化学や鉄鋼もカーボンニュートラル対策の投資が結構あるようだ。
また11月には、プラントエンジニアリング大手の日揮さんと協業に関する基本合意書を締結しており、日揮さんの案件の取り扱いも今後は期待できる
―今回の提携は、プラント設備の設計・機器の調達・建設・試運転に至るまで一括して請け負うEPC(エンジニアリング プロキュアメント コンストラクション)への取り組み強化という意味合いもあるということだが。
髙田 我々としては日揮さんのそういったノウハウを学びたいという考えもあるし、日揮さんは、かなり先まで仕事が入っている一方で、人手の確保が難しくなるという課題を抱えているので、両者がWin-Winの関係を目指すことで今回話がまとまった。。
―最近では、自社開発したモーターなど回転機械の電流情報量診断システムも注目されている。
髙田 9月には、経産省の「スマート保安技術カタログ」に掲載され、高速道路のトンネル内を換気するジェットファンの診断に採用されるなど実績も上がっており、11月には国交省の新技術に関わる情報データベースにも登録されている。
これまでは馴染みのある鉄鋼や石油化学関係を中心に売り込んできたが、回転機は、半導体関連などでも使われているし、採用されたトンネル換気のファンなど、公共関係も含めて多方面に利用いただける技術かと思う。
例えば近年、いつどこで豪雨被害があるか分からないような時代だが、地下鉄や地下街では常に地下水を汲み上げていて、停電したり、ポンプが故障したりすると、たちまち水浸しになるらしい。そういうところにも需要があるかと思うので、現在いろいろな業界や分野に対して提案しようとしている。どこまでの規模になるかは分からないが、それなりの利益は稼げるのではないかと期待している。
―新年で注目する事項は。
髙田 2024年問題に尽きる。当然コンプライアンス違反は絶対にでないし、その旨、お客様には伝えしており、ホームページにも謳ってはいるが、それがどこまで浸透していくかだ。