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スタートアップ3社に資本性劣後ローン融資 日本公庫福岡西支店


週刊経済2024年1月30日発行号

融資総額は9千万円

㈱日本政策金融公庫福岡西支店(福岡市中央区舞鶴3丁目、山口繁紀支店長:以下、日本公庫)は1月17日、パッケージソフトウェア開発の㈱トイポ(福岡市中央区大名2丁目、村岡拓也社長)、水産加工食品製造の㈱ベンナーズ(同市東区香椎浜ふ頭2丁目、井口剛志社長)、インターネット支援サービスの㈱botto(ボットー:同市中央区大名2丁目、水田匡俊社長)のスタートアップ3社を対象に、「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」による融資を実施したことを明らかにした。3社に融資した総額は9千万円。
これはベンチャーファンドを運営する㈱ドーガン・ベータ(同市中央区大名2丁目、林龍平社長)との連携を背景に、同社からベンチャー支援の意向を受け応じたもの。トイポは2019年4月に設立。資本金9500万円、従業員数は15人。同社はアプリケーションを活用した店舗向け集客サービス「toypo」を運営。JR九州主催のビジネスコンテストで初代最優秀賞を受賞したほか、九州経済産業局からスタートアップ企業を評価する「J‐Startup KYUSYU」にも選定されている。融資額は4千万円(2023年12月25日付)。
ベンナーズは18年4月に設立。資本金は1億948万円、従業員数は20人。同社は国産天然魚のミールキット(料理キット)を定額課金方式で販売。商品ブランド「フィシェル」は流通の前段階で廃棄される未利用魚を活用し、料理キットとして販路を拡大している。魚のフードロス削減と漁業者の収入底上げ、SDGsの取り組みが評価され、「日本サブスクリプションビジネス大賞2023ブロンズ賞」を受賞している。融資額は3千万円(同)。
bottoは18年1月に設立。資本金は3024万円、従業員数は3人。飲食店の店舗運営を支援するコミュニケーションツール「botto」を運営。23年2月、「福岡県ITスタートアップビジネス大賞」を受賞したほか、同3月には福岡県による伴走型成長支援プログラム「ISSIN」のグロースコースに採択されるなど、注目度が高まっているという。融資額は2千万円(24年1月16日付)。
日本公庫は今回、コロナ禍の影響を受けている事業者および事業再生に取り組む事業者を対象に、財務体質強化を図る目的で資金を供給する制度「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」を適用。同制度適用による債務は金融検査上、自己資本とみなすことができるほか、他の債務と比べて劣後する(返済順位が低い)ため、民間金融機関からの新規融資促進につながるという。また、「元金は期限一括償還で、それまでの期間は毎月利息のみの返済であり、長期間安定した資金繰りを行うことができる」(日本公庫福岡西支店)と話している。