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「特定特別監視地域の指定は評価すべき」  中井福岡市タクシー協会長    運賃改定で売上平均0・61%増


 社団法人福岡市タクシー協会(福岡市博多区比恵町)の中井眞紀会長(清流タクシー社長)は、8月6日、ふくおか経済9月号の取材に応じ、「02年の規制緩和以降、新規参入や台数増加が進み、供給過剰の状態。昨年12月の運賃改定後、売上高や従業員一人当たりの平均賃金はわずかに上昇したが、加盟各社の経営環境は厳しい状態が続いている」と現状を語った。主な内容は次の通り。
 ―福岡市内のタクシー業界を取り巻く経営環境は。
 中井 02年の規制緩和以降、新規参入や台数増加が進み、供給過剰の状態だ。燃料費高騰と乗務員の労務改善を図るため、昨年12月に運賃改定を実施した。改定後、数か月間の出足は好調だったが、燃料費の高騰が続いていることや、企業収益が悪化していることも重なり、加盟各社の経営環境は厳しい状態が続いている。
 ―昨年12月の運賃改定から約半年が過ぎた。改定後の効果について。
 中井 小型の初乗り運賃1・6キロまで590円だった運賃体系を、1・2キロまで550円とする初乗短縮運賃を導入しているが、昨年12月から今年5月までの加盟企業100社を対象に実施した調査によると、売上高平均で前年比0・61%増、乗務員の賃金上昇率は、平均で1・45%上昇している。わずかだが、その成果は出ていると思う。
 ―厳しい経営環境に直面している現状で、協会としての支援策や振興策は。
 中井 今年度の取り組みでは、5月に車内禁煙化を実施したのを皮切りに、6月には新しい乗務員の登録業務を運輸局から委託した。さらに8月3日からは、天神(市役所南側)、博多駅(筑紫口)、西鉄大橋駅東口の3か所からレベルファイブスタジアムまでを定額運賃で運行するサービス「アビスパ応援タクシー」を実施している。特に車内の禁煙化に対する利用者の評判は予想以上に高い。これからも地域に密着し、お客さまのニーズに対応できるサービスを展開していきたい。
 ―7月28日に京都市に本社を置く株式会社エムケイが九州運輸局に認可申請し、12月には営業を開始する。この問題について。
 中井 正直、また増えるのか、という感想だ。自由競争を否定しないが、これ以上台数が増えれば、需給バランスがさらに悪化し、乗務員の生活環境などの面で悪い影響が出てくると思う。
 ―国土交通省は、7月11日、タクシー事業で過剰供給に陥っている地域を特定特別監視地域に指定し、重点的な監査や行政処分の厳格化を打ち出す方向だが。
 中井 ようやく地方の現状に目を向けてくれた。遅きに失する感がなくもないが、大いに評価している。02年の規制緩和以降、福岡都市圏全体では1000台増加した。規制緩和がもたらした弊害を何とか改善できる方向に持っていけるよう努力してほしい。(詳細はふくおか経済2008年9月号に掲載)