INTERVIEW

東京から移住し起業、創業を後押しする存在に/ことづくり・佐野友昭代表


 

福岡市(高島宗一郎市長)が官民連携で運営する創業支援の拠点「Fukuoka Growth Next(=FGN、フクオカグロースネクスト)」(福岡市中央区大名2丁目、内田雄一郎事務局長)。

多数のスタートアップが入居するFGNの1階に設けられている「スタートアップカフェ」は、創業を目指す人のためのサポートを担い、2019年度は約2000件もの相談があるなどその数は年々増加傾向にあるという。

 

そんな同所で今年5月からエグゼクティブコンシェルジュとして起業を志す人のサポートを担っている1人が、佐野友昭さん。7年前に開校したグロービス経営大学院福岡校(福岡市博多区博多駅中央街)の立ち上げに携わり、5年間福岡校の運営責任者兼経営戦略・マーケティング領域の講師として活動してきた。

その後東京に異動になったが、今年春に運営元の(株)グロービス(東京都)を退職し、2年半ぶりに福岡へ。同時に(株)ことづくりを立ち上げた。

佐野友昭(株)ことづくり代表 横浜市出身。1972年5月17日生まれの48歳。(株)グロービスでグロービス経営大学院福岡校の立ち上げに携わり、5年間、福岡校の運営責任者兼経営戦略・マーケティング領域の講師で活動。

 

 

 

佐野さんは「福岡で拠点責任者としてグロービス福岡校の立ち上げから運営まで関わったのは濃い経験だった。福岡の人と人との繋がりの強さや、地元企業の経営者との距離の近さに魅力を感じ、東京で大きな仕事をするのも良いが、職住近接で生活しやすく、一人ひとりの顔を思いうかべながら仕事ができる福岡でこれからも生きていきたいと思った」と語る。

 

また、(株)ことづくりではコロナ禍で世の中が大きく変化する中で「福岡から新しい価値を生み出すことを支援し、また時には主導したい。その第一歩として、起業を志す方を支援する役割を担えることに、大変なやりがいを感じている」と笑顔を見せる。

 

「スタートアップ」というと、壮大な夢を掲げてスケールするビジネスを構築しなければならないといったイメージもあるが、佐野さんは「スモールビジネスでも構わない。起業は生き方の一つの選択」と訴える。

その中で「スタートアップカフェは、事業の大小を問わず起業によって自己実現しようとする人の味方。そのような人の母数が増えれば、その中からスケールビジネスを手掛ける人も出てくるはず」と起業家の母数拡大の意義を説明する。

 

スタートアップカフェが入る福岡市中央区大名2丁目にある創業支援施設「フクオカグロースネクスト 」

一方、起業には不安や孤独もつきものだ。佐野さん自身も今回の独立の際、それを実感したという。しかし、「それを後押しする先輩起業家や友人に相談できたことが大きな勇気にもつながった」と語る。

「組織に属していない起業家には、自分に寄り添って一緒に考えてくれる味方が必要。スタートアップカフェはそうした存在でありたい」(佐野氏)。

 

着任してまだ2カ月だが既にさまざまな起業相談に応じているという佐野さん。

「コロナ禍にあっても起業の準備を進めている人が福岡にはたくさんおり、変化はチャンスであることを実感する日々。起業を考えている人は一人で悩まずに気軽に相談に来てほしい。話をすることでモヤモヤがクリアになり、不安が軽くなり次のアクションが見えてくる」と微笑んだ。

 

本誌・ふくおか経済2020年7月号特集「コロナを越えろ!地場スタートアップ」より転載

 

【金縄洋右】