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建設コンサルの技術力生かしたIT不動産事業スタート/アイプラン


VR、不動産、内覧

不動産の内見は自宅からできる時代に

新型コロナの影響で人との接触が避けられる中、本業は建設コンサルタントでありながら“内見しない”不動産事業をスタートさせた企業がある。福岡市中央区の㈱アイプランに取材した。

VR・ARを積極活用

あらゆる業界でVR(バーチャル・リアルティ)技術の活用が進むなか、特に親和性が高いと言われるのが不動産業界だ。

不動産業務では、契約段階で実物を見ることが難しい場面が多々あるが、“伝える”技術に優れるVRを活用し、イメージ共有を図る事例が増えてきている。

事業者にとってもそのメリットは大きく、時間やコストの削減、見積もり概算を素早く出せるなど営業のクロージングにも大いに役立てられるという。

不動産向けVR「内覧くん」

㈱アイプラン(福岡市中央区平尾2丁目、伊藤昌德社長)では、分譲業者や不動産仲介業者向けにVRシステム「内覧くん」を販売している。分譲業者はこれまで、部屋の一部を再現したモデルルームを用意する必要があったが、壁紙や素材など顧客からの要望を可視化することが難しかった。「内覧くん」ではそれらを素早く再現し、イメージを共有できるため、共通認識を持ちながら業務を進めることができる。また、予算も10万円からとモデルルーム建設よりも格段にコスト削減につなげられるという。

一方、仲介業者では不動産オーナーの見えない不安を払拭する手段としての活用も期待されている。

中古物件のオーナーは空室対策として部屋をリノベーションすることが多々あるが、同社によると、「オーナーは、このデザインで本当に空室が埋まるか不安がある」と話す。リノベーション後のVRを制作し、工事前にVR内見で入居者を決定。これによりオーナー側のリスクや不安を軽減できる。

VR、不動産
VR、不動産

同社が製作したCG画像

戸建て住宅を手掛けるハウスメーカーに対しては、AR(拡張現実)技術を活用する。ARとは、現実世界から得られる情報にCGを重ね合わせたもので、実際にその場にあるかのような体験ができる。打合せ段階で制作した3D図面をAR化。建築予定地にスマホやタブレット等の機器をかざすことでARが浮かび上がり、色味や建物全体を360度見る事もできる。また、ARで建物内に入ることも可能で、これにより設計段階での課題を早期発見し、よりイメージに近い家づくりができるようになる。

戸建て住宅のAR体験はこちらから(iPhoneのみ対応)

目線で移動できるシステムを開発

今春には、新たに目線誘導で移動できるVRシステムが完成した。

一般的な360度VRシステムでは、移動の際に第三者がマウスなどで操作する必要があるが、このシステムは進行方向に表示される丸い印に目線を合わせることで映像内を移動できる。

これにより部屋探しをする顧客は実店舗に行かずとも自宅から1人で内見が可能。また、VRゴーグルも貸し出しており、スマホをゴーグルに装着することでその場にいるような臨場感を体験できる。

VR

青い印に目線を合わせることで映像内を移動できる

「四次元不動産」が始動

注目すべきは、VRシステムの販売だけでなく、自社でも宅建を取得し不動産仲介・売買業として事業展開するところだ。屋号を「四次元不動産」とし、“内見しない不動産屋”として今春から本格的にスタートした。VR技術を活用し内見を実施しないことでさまざまな経費を削減。そのため仲介手数料を50%カット、最大0円とし時間とコストを削減したサービスを提供する。自社で不動産事業を展開する強みを生かし常に技術も更新しながら、今後は取り扱い物件数も増やしていく計画で、将来的にはスマートキーや電子契約の導入などWEB上で完結する不動産会社の実現を目指している。

 

建築コンサルで培った3D技術を応用するため、「本物に近いクオリティを実現できる」と自信をのぞかせる。ビジネスにも新しい生活様式が求められるなか、今後あらゆる業界でVR・AR技術の活躍が期待される。

 

四次元不動産 ㈱アイプラン

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【取材/堀 彩寧】