INTERVIEW

    「部活の次、何する?」体育会系新卒採用の現状とは/イコールワンHD・安田錦之助社長に聞く


    2021年卒採用が今年も多くの企業で始まろうとしている。不動産事業やアスリートのキャリアサポート事業などを手掛ける(株)イコールワンホールディングス(神奈川県、安田錦之助社長)では2月17日、エルガーラホール(福岡市中央区)で体育会系就活生と、地場企業のマッチングイベント「ブカツのツギナニスル」を開催。長年競技を通じ努力を積み重ねてきた「体育会系人材」には毎年多くの企業から熱い視線が送られているが、「学生と企業間のミスマッチも浮かび上がっている」と安田社長は指摘する。安田社長と、事業担当の岩元駿介さんに体育会人材の新卒採用の現状を聞いた。

     

    安田錦之助・イコールワンホールディングス 社長(右)と同社「ブカツのツギナニスル」事業の福岡開催を担当する岩元駿介さん

    体育会系新卒人材に対する企業の過度なイメージに警鐘

    ー新卒採用で売り手市場が続く昨今、「体育会系人材」には多くの採用担当者から高い評価が挙げられていますが、現状をどのように見ていますか。

    安田 体育会系の部活動生に対し企業がそのイメージを美化し、学生が売り物にされているというのではないかという危機感を抱いています。

    採用側からすると、大学まで長くスポーツに取り組んできた学生を「根性がある、ストレス耐性がある、ゆとり世代のわりには見応えある」といった先入観で見るケースが多い印象です。そして人材業界側もそれを商品化し、脚色しているからお互いミスマッチに繋がっているのではと危惧しているところです。

    また、学生側も本当はメンタルが強くない学生が「メンタル強いです」とか、継続性を無理矢理アピールするなど、体育会系の性質をいいように装っているところもあります。学生たちにも「本心をそのままを伝えよう」というのを発信しなくてはいけないと思い、マッチング事業「ブカツのツギナニスル」を立ち上げました。

    —学生時代アメリカンフットボール部に所属していたという岩元さんも、体育会学生の優位性を感じたことは。

    岩元 ありましたね。大学在学中、所属するアメフト部に企業の人事の方が訪ね、アメフト部員のためだけに説明会を開いてもらうこともありました。その時よく言われたのは「体育界人材は需要がある」と。あまりにも褒められるものですから、その後入社した金融機関で入社間もない頃「即戦力になれるのだろう」と思っていましたが、他の同期となんら関係なかったですよね。いったい体育会系の何がよくてそんなに優先的に採用されていたのか・・。(苦笑い)今振り返ると、やたら持ち上げられてきた印象はあります。

    安田 結果的に「体育会系の人材を採用して良かった」と思われることはあるでしょう。しかし、決して全員がそうではないはずです。過度な期待やプレシャーを与えると、学生も背伸びせざる終えなくなってしまう。だからこそ、企業の方には色眼鏡を外し等身大の学生の姿を見て欲しいです。

    —「ブカツのツギナニスル」はこれまで首都圏ではなく北海道、青森、岩手の大学で開くなど、地方に特化して開いていますね。

    安田 長く部活動でスポーツをしてきた若者からすると、将来実社会で働くイメージが沸かない学生が多いのが現状です。首都圏のように情報が多い都会ではキャリアに関する情報を得られる機会は多くありますが、地方ではそのような機会に恵まれないケースもあります。だからこそ、私たちの意義があるのかなと思います。

    東京など首都圏で働きたい学生もいるかと思いますが、地方で働きたい学生もいるはずです。特にここ福岡市は、その象徴的な街ですよね。そんな彼らが納得して働きたいと思えるような企業さんを紹介するのも使命だと感じています。

    青森大学で開かれた「ブカツのツギナニスル」の様子

    —地方の中小企業では新卒採用で学生が集まらない企業も見受けられます。

    安田 例えば、東京本社の会社で配属が福岡県内の人たちの多くは東京基準レベルの給料で働けることもあります。だだし、福岡本社の中小企業だと下がってしまうこともありますよね。彼らにとってそれも理想と現実のギャップなのかなと。

    しかし、その価値観だけで「地元に仕事がない」という固定概念を抱かれると、本当は魅力ある地方の中小企業の存在が伝わらなくなってしまいます。ですので、お互いのミスマッチを埋めるのが私たちの仕事です。

    —そのような中、今回のイベントの特徴は。

    岩元 形式的な説明会をしてもお互い本質的な部分が伝わらないですし、出展企業さまにはフラットに学生と接してもらうのが理想です。当社では企業さまに対しそのサポートもします。

    神奈川県・サンエー社のブランディング例(https://blog.tsuginanisuru.com/archives/41

    安田 これまで3都市でイベントを開いてきましたが、学生から「面白い会社の社長さんに出会えた!!」といった感想をSNSでいただきました。就活業者が褒められるというのは、なかなかないと思います。だからこそ若者の価値観に歩み寄る姿勢がある会社に参加してほしいです。

    当日は西日本新聞社さんや九州博報堂さんなどが参加予定で、現在も地元福岡の参加企業を募っています。また、プロバスケットチーム・ライジングゼファーフクオカと、社会人アメリカンフットボールチーム・みらいふ福岡SUNSの協力で、現役アスリートによるキャリア形成セミナー、講演会も実施することになりました。体育系部活動生に対し今後のキャリアの考え方も発信することで「働く」とはどういうことなのかを考える機会になればと考えています。

    ・ブカツのツギナニスル in 福岡

    日時:2月17日(月)

    場所:エルガーラホール(福岡市中央区天神1丁目)

    開催時間:午前10時から午後5時まで

    https://tsuginanisuru.com/fukuoka/

     

    安田錦之助 社長

    福岡市出身。1988年7月30日生まれの31歳。福岡市立福翔高等学校ー明治大学卒。大学卒業後、野村証券(株)に入社。2015年11月にイコールワンホールディングスを設立。福岡市中央区大名1丁目に福岡支社を設けている。社長業のかたわら、社会人アメリカンフットボールチーム・みらいふ福岡SUNSの選手としても活動。また、同チームと、プロバスケットボールチーム・ライジングゼファーフクオカのスポンサーを務めている。父は、タレントの安田栗之助さん