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ふくおか経済EX 2019

(株)福岡リアルティ


設立15年、「人が財産」の職場で進む働きやすさとキャリア支援

国内初の地域特化型リートの福岡リート投資法人が昨年12月、沖縄で初の物件を取得。資産規模2,000億円まで目前となった。一方、資産運用会社の福岡リアルティは今年で設立15周年を迎えた。「人が財産」(松雪恵津男社長)と言うように、キャリアアップ支援と社員が安心して働ける環境づくりに力を入れる。

沖縄で初の物件取得、既存物件も堅調

最近、資産形成の手段として注目されるJリート(不動産投資信託)。その中で投資対象エリアを福岡・九州に限定する国内で初めての“地域特化型リート”が福岡リート投資法人だ。
その福岡リートが昨年12月、沖縄県那覇市のホテル「ティサージホテル那覇」を28億3,500万円で取得した。沖縄県での物件取得は初めてで、松雪恵津男執行役員も「空港からも近く、昨年2月に完成したばかりの新しいホテル。外国人を含めた入域観光客が増えている沖縄において、今後も高い稼働率を維持しそうだ」と期待を寄せる。今回の取得で福岡リートの保有物件は全29物件、資産規模も1,959億円となり2,000億円が目前となっている。
一方、既存の保有物件では主力の「キャナルシティ博多」が堅調だ。2017年度は約1,700万人が訪れ、福岡都市圏の商業施設の中でもその存在感は大きい。国内最大級の3Dプロジェクションマッピング「キャナルアクアパノラマ」では昨年の「ゴジラ」や、「スペースインベーダー」とコラボした参加型コンテンツが人気で、国内外からの来場者に“名物”として知られるようになった。また、この春からはキャナルシティ劇場で劇団四季の「ライオンキング」が上演されるなど、訪れた人の“体験価値”が高まる企画が目白押しだ。3月には繊研新聞社主催の「テナントが選んだディベロッパー大賞」で平成記念特別賞を受賞。
「テナントさんからも支持をいただけたことは心強い」(松雪執行役員)とし、「今後も多くの人が訪れたくなるような施設づくりを継続する」と語った。

働き方改革推進企業に認定

福岡リートは、資産運用会社の㈱福岡リアルティ(松雪恵津男社長)により運営されている。社員41人の少数精鋭部隊だが、最近では働きやすい環境づくりにも力を入れる。
松雪社長が自ら「長時間労働の削減」「有給休暇を積極的に取得」などと訴えるほか、全社員の半分近くを占める女性社員のうち、6人が育児休業を取得。既に5人が職場復帰していて、残り1人も復帰予定だ。ワークライフバランスが言われる中で、社員が安心して働ける施策を積極的に導入している。
同時に、キャリアアップのための人材育成、研修制度も充実している。通年で語学学習の補助を設けているほか、MBA取得のため地場の有名ビジネススクールに社員を派遣する。当然、不動産系の資格取得も奨励し、上司がボランティアで勉強会を開くことも。結果、ほとんどの社員が何らかの研修で学び、宅地建物取引士や不動産証券化協会認定マスターといった有資格者は半数以上にもなる。今年1月から3月には全社員対象の深圳視察研修も実施されたばかりだ。また、同社は福岡市から「ふくおか『働き方改革』推進企業」にも認定されている。
働く環境が充実しているため自然と社内のコミュニケーションも盛んで、同社には社員がレクリエーションを企画する“レク部”も存在し、昨年末には会社設立15周年記念と親睦を兼ねた釜山旅行も実施された。
「働きやすい環境で個々人が成長してもらうことが会社の成長にもつながる。資産運用会社は人が財産なんです」。松雪社長が力を込めた。

松雪 恵津男 社長
まつゆき・えつお/佐賀県鳥栖市出身。1955年8月5日生まれの63歳。東京大学法学部卒。80年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。2009年7月福岡地所入社。執行役員経理部長兼総務部・財務部担当などを務め、11年6月から福岡リアルティ常務、12年6月から社長。14年5月から福岡リート投資法人執行役員を兼務。大のサガン鳥栖ファン

 

【DATA】
福岡リアルティ
所在地/〒812-0018 福岡市博多区住吉1-2-25
TEL/092-272-3900
FAX/092-272-3950
設立/2003年12月
資本金/2億円
事業内容/福岡リート投資法人の資産運用(不動産の取得、運用、資金調達など)
従業員/41人 URL/https://fukuoka-realty.jp

福岡リート投資法人
上場日/2005年6月21日
銘柄コード/8968(東京証券取引所、福岡証券取 引所)
決算期日/毎年2月末日、8月末日 国内外から来場者を集める「キャナルシティ博多」
U R L/https://www.fukuoka-reit.jp

(ふくおか経済EX2019年)