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ふくおか経済EX 2018

(株)オオサカネーム


創業59年、志免町の新本社工場が稼働

メタルサイン総合メーカーのオオサカネームは今年1月、志免町別府西の新本社工場を稼働させた。築50年、建て増しを続けてきた旧工場から移転したことで、生産効率は大きく向上。創業以来培ってきた経験と確かな技術に磨きをかけ、日本を代表するサインメーカーへと進化している。

投資額15億円、生産能力は20%増に

新本社工場を置くのは、亀山工業団地(糟屋郡志免町別府西1丁目)の一角にある、旧工場の3倍となる1万㎡の敷地。1階が工場、2階が事務所となり、総工費15億円をかけ、昨年11月に工場は完成した。
「旧本社の東区社領地から近く、これほどの規模の建設用地を探すのに苦労した。今回の土地は幸運が重なって取得でき、建設までも紆余曲折あった。無事稼働したことに胸をなでおろしている」と、1月に施工関係者や社員を集めて開催した落成式で語った井手社長。改めて施工に携わった関係各社に感謝の意を伝えた。
新工場には塗装ブースはゴミや塵が一切入らないクリーンルームを設置して、腐蝕加工をはじめとしたあらゆる金属仕上げを可能にするため、多種多様な薬品を安心して使用できる設備設計を施した。
「生産能力は旧工場の20%増に留めたが、作業効率は格段に上がった」と話す井手社長。工場はすでにフル稼働の状況が続いており、熟練工たちが上質な製品をつくるため、日夜努力を重ねている。

人材獲得・育成に注力

「オオサカネーム」は社名の通り、創業者で隆二社長の父・井手義治氏が大阪から福岡に移り住み、1959年博多区出来町に設立した「大阪ネームプレート製作所」を祖とする。当時は創業者たちが自ら作業場を建て、苦心して作り上げた腐蝕機を使用して、機械銘板を製造していた。法人を設立し、事業を拡大し始めたのが67年。東区社領に本社を移転し、旧工場の礎となる初代工場を稼働させた。
それから50年。オオサカネームは確かな技術を築き上げ、メタルサインメーカーとしての実績を積み重ねてきた。商業施設や病院、マンション、企業の社屋、店舗、住宅の表札など、街中のいたるところで見かける看板は、同社の社員が製造したものも多いことだろう。「リニューアルを除き、建物が立たないと新しいサインは注文されないので、リーマンショックで景気が冷え込んだ時はとても苦労した」と当時を振り返る井手社長。現在は首都圏を中心に好景気を追い風に各所で大規模な建設ラッシュが続いており、同社への発注も「お陰様で好調」と笑顔で話す。
現在同社が営業拠点を置くのは東京と大阪、本社がある福岡。製品のほとんどは客注を受けてからのオードメード、営業社員が取引先と打ち合わせを重ね、「短納期・高品質・多品種生産」を徹底して、顧客が納得する製品を本社工場で作り上げる。
「製品とお客様をつなぐのは、誠意と品質の維持。社員たちの努力で誠意は伝わっているが、今後も品質を維持していくには、作業現場での技術承継が不可欠」と話す井手社長。新工場稼働に合わせ、3年前から若手社員を多数採用し、アルバイトと嘱託含めて130人にまで増やすなど、熟練工から若手社員へ、技術承継を着実に進めている。また、工場内では社員全員が安全で働きやすい快適な作業環境づくりを進め、社員の国家資格取得への援助、人材育成のための研修にも積極的に参加している。
「創業60年、そしてこれからの40年。百年企業を目指すことは容易ではないが、これまで支えていただいた取引先や働いている社員のためにも、全力で会社を切り盛りしていきたい」と井手社長は展望を語った。

井手 隆二 社長
いで・りゅうじ/福岡市東区出身。1968年5月31日生まれの49歳。西南学院大学卒。西日本シティ銀行を経て、97年8月同社入社。2010年12月社長就任

 

【DATA】
所在地/〒811-2232糟屋郡志免町別府西1-1-8
TEL/092-518-1131
FAX/092-518-1132
設立/1959年8月
資本金/3,000万円
事業内容/金属サイン看板の製造と販売
年商/18億円(17年9月期)
従業員/117人(アルバイト、嘱託含めて130人)
出先/東京支店(東京都中央区日本橋浜町2-48-4平和MKビル7F)、大阪営業所(大阪市東淀川区西淡路3-9-10)
URL/http://www.osakaname.co.jp

【採用情報】
募集職種/技術職、営業職
応募資格/不問
採用実績/2017年度4人、2018年度4人
採用予定/5人程度
年間休日/105日
問合せ先/TEL.092-518-1138
担当/馬渡

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