FEATURE

ふくおか経済EX 2009

正晃㈱


「学術医療総合商社」を目指しエリア戦略も加速

正晃新宿ビル(東京都新宿区)

7億円で東京新宿の地下2階地上3階建ビルを取得

この春、総合試薬ディーラーの最大手・正晃㈱(印正哉社長)は、東京営業所を東京都新宿区若葉3丁目の「正晃新宿ビル」に移転した。地下2階地上3階建ての新ビルは、約7億円で取得。学習院初等科の近くに位置し、敷地面積500㎡、延床面積1370㎡で、広さもこれまでの約12倍と営業・物流体制の面からも拠点機能が飛躍的にアップした。
東京営業所は2002年に開設。企業の研究所や大学の研究施設を主要顧客とし、バイオテクノロジーや生命工学、再生医療など先端医療技術の研究施設が集中する地域特性から取引先も着実に増え、当初予想を上回るペースで伸びており、この4月1日からは「東京支店」へと昇格した。印社長は「首都圏エリアの動きは堅調で、今後の伸びが期待できる」と分析する。 このほか、既存エリア充実の一環として長崎営業所(長崎県諫早市)も新築・移転した。同営業所は2004年に開設、これにより正晃の主要営業エリアである九州沖縄・山口全県での拠点ネットワークが整った。その後も、順調に推移してきたため従来の賃貸物件から新たに建設した2階建ての自社ビルへ移転・拡張した。

ISO9001とISO14001の認証書授与式(2008年10月)

昨秋「ISO9001」」と「ISO14001」を同時取得

1950(昭和25)年9月、特需景気にわく博多の地・福岡市箱崎昭和新町において、小さな試薬品問屋「正晃化学薬品商会」として創業した正晃。当時から試薬の将来性に着目、紆余曲折を経ながらも、誠意と熱意で顧客を開拓し事業を拡大してきた。今日では基礎研究用試薬、臨床検査薬、化学工業薬品、理化学機器、医療用機器などを扱う「学術医療総合商社」として医療、学術研究の発展に大きく寄与する。
昨年10月には品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」」と環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」の認証を同時取得した。医療、学術研究、産業情報などを供給する学術医療総合商社として品質・環境のマネジメントシステムの実行と継続的改善を目指す。印社長は「社会を支える様々な分野に不可欠な商品を供給するサプライヤーとしての使命を全うし、社会に貢献したい」という。

正晃本社(福岡市東区松島3丁目)

中国ビジネスもさらに加速

九州・沖縄、山口から首都圏、さらには昨年、北京オリンピックが開催された中国へとエリア戦略が加速する……。ここ数年、注目されるのが中国ビジネスの動きだ。2004年秋から上海の商社・上海アイレックスと提携し、自社開発の「心臓エコーの3D画像表示ソフト」の販売をスタートした。その後、ソフト販売の着実な伸びとともに臨床検査薬や検査用医療機器など、メーン商品の需要も急増。この流れを受け、2007年6月には現地法人「上海正晃商貿有限公司」を設立。最近では従来の臨床検査薬・生化学自動分析装置に加え、免疫測定自動分析機器など先端技術へのニーズも高まっている。
さらに、昨年春からは上海アイレックスが運営受託する四川省成都市の病院にも出資。予防医学や検査体制が充実した「正晃病院」として新たなスタートを切った。印社長は「中国において日本の高度医療を実践できる施設を……が発想の原点。今回の病院経営への参画は、今後の中国ビジネスの新たな指針」と大きな期待を寄せる。

正晃医院(中国・四川省成都市)

「誠・正・精」の基本精神で果敢にチャレンジ

バイオテクノロジーをはじめとするライフサイエンスの驚異的な発達に見られるように、科学技術はわれわれの生活と未来を大きくリードし続けている。正晃は、総合試薬ディーラーとして、これら医療や学術研究機関、産業分野などさまざまなユーザーのニーズに応えることで、医療・科学分野の発達の一翼を担ってきた。創業から約60年を経た今日では、九州・沖縄から山口、さらには首都圏エリアをカバーする営業体制で高度化する企業や大学の研究ニーズに応え、各地域に根ざした活動を展開している。
また、試薬・診断薬・機器分野だけにとどまらず、医療および研究分野向けに専門特化したソフトウェア分野でも独自の開発を進め、大きな成果を挙げている。製品は国内のみならず中国や韓国、アメリカなど海外でも高い評価と注目を集めている。
これら正晃の果敢なチャレンジを支えているのが”人”だ。印社長は「受け継がれた「誠・正・精」という不変の基本精神のもとで、強く結束した一枚岩の思想こそが、正晃の誇り。これからも、お客様とのコミュニケーションと信頼を何よりも大切に、常に”パーフェクト”を目標に掲げて『商品』と『情報』を提供する医療・科学の総合商社を目指す」と決意を示した。

印 正哉 社長
福岡市出身、1954年2月23日生まれの55歳、福岡大学商学部卒。和光純薬工業株式会社勤務を経て、76年正晃化学薬品株式会社に入社、78年取締役、85年常務取締役、88年専務取締役、91年代表取締役社長に就任。福岡商工会議所議員も務める。趣味は車、カメラ、旅行

 

企業DATA
【所在地】〒813-0062福岡市東区松島3-34-33
【TEL】092-621-8199㈹
【FAX】092-611-4415
【創業】1950年9月
【設立】1955年3月
【資本金】5,000万円
【事業内容】基礎研究試薬、体外診断用医薬品、化学工業薬品、理化学機器、医療用機器等の販売、 コンピュータおよび関連ソフトウェアの開発・販売
【年商]357億円(2008年3月期)
【代表者】印正哉
【従業員】415人
【出先】福岡第一、福岡第二、北九州、久留米、大分、佐賀、山口、熊本、沖縄、宮崎、鹿児島、東京、長崎、下関配送センター
【関連会社】沖縄メディックス㈱、正晃テック㈱、佐賀正晃㈱、上海正晃商貿有限公司、㈱サンライト
【URL】http://www.seikonet.co.jp

採用情報
●募集職種:営業、事務
●応募資格:短大、専門学校卒以上
●採用実績:08年度23人(男性15人、女性8人)、09年度15人(男性9人、女性6人)
●採用予定:10年度10人
●問合先:092-621-8199人事部まで
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(ふくおか経済EX2009年)