FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱ホークスタウン


ホテルなど大規模リニューアルを計画

(写真)2010年6月に開業した「ヒルトン福岡シーホーク」

ホテルは客室・アトリウムを改装

ホテルは「ヒルトン福岡シーホーク」としての開業から6月で1年。井川社長は「シーホーク色を残しながらも次第にヒルトン色が出てきたように思う。エントランスもアロマの香を漂わせるなど非日常性を高め、雰囲気も変わってきた。加えて、ホテルにとって重要な要素である料理に関しては、以前よりずいぶん高い評価をいただくようになっている」と評する。
また社員のトレーニングの機会も格段に増えており、「功を奏するまでにはまだ時間を要するかと思うが、接客面などについては徐々にお客様の評価も上がってきているようだ」という。
国内最大級1052の客室を有する“シーホーク”はヒルトングループにとってアジア太平洋地域最大であり、宿泊のほかレストラン・婚礼も高い売り上げ構成比率を持つ。「その意味ではヒルトンにとっても他のヒルトンホテルとは違う、初の試みという側面もあると思うが、これについても徐々に営業体制を整えつつあるようだ」と見ている。
今年はハード面の整備にも力を入れる。2月には最上階の「スカイチャペル」を、“IN THE SKY”をテーマにリニューアルしているが、さらに大規模な投資をかけて高層階のエグゼクティブフロア、4階アトリウムの大幅な改装を近々計画している。井川社長は「今、最終的な打合せを進めているところで、今回の投資によって、来年以降はもっと業績を伸ばしてくれるもの」と期待する。また、飲食施設に関しても検討していきたいという。

2月にリニューアルした最上階の「スカイチャペル」

モールにも大規模投資を検討

ホテルに隣接するホークスタウンモールは、大型ライブホール「Zepp Fukuoka」、シネコン「ユナイテッド・シネマ福岡」、九州最大規模のアミューズメント「ナムコワンダーパーク」など多彩なショップをそろえた複合商業施設。開業から10周年を迎えた昨年、施設運営におけるプロパティマネジメント業務を京阪グループの㈱京阪流通システムズ(大阪市)に委託した。
京阪流通システムズでは受託当初からバリューアップの一環としてリニューアルも視野に入れており、㈱ホークスタウンでも現在、さまざまなアイデアを持ち寄ってリニューアル計画の立案に取り組んでいるという。実現すればこれはホテル以上に多額の投資となる見通しで、井川社長は「慎重を要するが極力早い時期に方向性を決めたい。具体的にはこれからだが、より楽しく活気のある施設づくりを進めていく」考えだ。

ホークスなどと「五社会」を発足

ホークスタウンは、ホテル、モール、そして福岡ソフトバンクホークスの本拠地、ヤフードームのコンプレックス(複合体)であり、“三位一体”の強みを生かしてそれぞれの振興を図っていく。
昨年初秋には、㈱ホークスタウン、ヒルトン・ワールドワイド、㈱京阪流通システムズ、福岡ソフトバンクホークスマーケティング㈱、そして井川社長が代表を務め、ホークスタウンのアセットマネジメントを担当している㈱OHIで「五社会」を組織した。
井川社長は「最初はトップ同士の飲み会的なところからスタートしたが、ソフトバンクホークスマーケティングの理解と協力がより深くなった。これからはその延長線上で、相互協力からジョイントマーケティング的な動きへ進めていきたいと話し合っている。三位一体で施策をどんどん打ち出して、1+1+1=『3』ではなく、『5』にも『6』にもしていかなくては」と意気込む。

ホテル、モール、ドームで「三位一体」の強みを図る

 

「周遊型観光拠点」機能に期待

この春には九州新幹線が全線開業し、今後、特に観光面での盛り上がりが期待されている。井川社長も「福岡を訪れてくださる方が増えるのは街にとっては大変良いこと。われわれとしては、より広域から来福してシーホークにご宿泊いただき、ホークスタウンを拠点に九州各地の観光スポットを巡るツアーなどをしていただければありがたい」と語り、ホークスタウンにとって九州における周遊型観光拠点としての機能を高めるチャンスと捉えている。
また国内のみならず、海外、特にアジアとの交流の活発化にも期待を寄せる。ここ数年の急激な景気変動で海外からの呼び込み数は増減もあるが、長い目で見ると中国を中心に増加傾向が続いており、今後はさらに伸びていくものと見られている。
井川社長は「そこで必要なのは、福岡をもっとアピールすること。たとえばわれわれも、台湾なら台北、韓国だったらソウルや釜山の街はよく知っていても他の都市はあまり知らない。向こうから見ても『東京や京都は知っているが福岡は知らない』という人が、われわれの想像以上に多いと聞いている」として、「まだ知られていない、という認識を持って、その上で何ができるのかを官民挙げて検討し、一体となってアピールしていくことが重要」と意見を呈する。

井川 英治 社長
いがわ・えいじ/1954年1月27日生まれの57歳、愛媛県四国中央市(旧伊予三島市)出身、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、77年ジョン・スワイヤー&サンズ Japan Ltd入社、79年㈱大井不動産入社、92年同社社長(現任)、99年㈱船井財産コンサルタンツ福岡取締役(現任)、06年㈱オー・エイチ・アイ社長(現任)、09年8月㈱ホークスタウン社長

 

企業DATA
所在地 〒810-8660 福岡市中央区地行浜2-2-2
TEL 092-844-8111
設立 1989年7月
資本金 8,000万円
事業内容 ホテルおよび商業施設の管理・運営
代表者 井川英治
従業員 900人
関連会社 東京都新宿区西新宿、大阪市北区梅田
URL http://www.hawkstown.com

(ふくおか経済EX2011年)