FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱ニシケン


関西、関東へ進出!
時代を見据えた“環境社会適応型企業”

建設機械のレンタルやリースという概念がなかった時代に、日本初の建設機材レンタル会社として誕生した㈱ニシケン(久留米市、水田明義社長)。「レンタル=モノを貸す」という既成概念にとらわれることなく、工法提案から技術支援まで一貫したコンサルティング業務を手掛け“総合レンタル業”という独自の地位を確立した。
長年、九州の建設機材レンタル業界でトップを走り続けながらも、事業領域に固執することなく、環境、社会、市場に適応する“環境社会適応型企業”への進化を打ち出し、その勢いはとどまることがない。

福祉事業好調で関西地区進出

1998年に少子高齢化と介護保険制度の施工を見越し、福祉、介護用品をレンタル、販売する福祉事業を立ち上げて以来、環境事業、アグリ(食)事業、ペット事業とすそ野を広げてきた。現在、売上高の3分の1を新規事業が占めており、特に福祉事業においては毎年二ケタの伸びをみせる。
昨年には大阪支社、大阪中央営業所、福祉大阪工場(大阪府東大阪市荒本西3丁目)、大阪境営業所(大阪府堺市中区深井北町)、西宮営業所(兵庫県西宮市鳴尾浜2丁目)を開設し、福祉事業で西日本地区への進出を果たした。
成長を遂げ続ける要因は、水田社長が掲げる独自の経営論『空気に爪を立てる』に表れている。「お客様に求められ続ける企業であるためには今だけでなく、5年、10年先の成長のために何が必要か、何が起きているかに気付き、形にないものを形になすことが必要だ」と力を込める。

ワイヤレスでデータ通信を可能にする「ブルートゥース」の販売を開始

東京支社開設し「ブルートゥース」の販売へ

昨年11月、創立50周年を迎えた㈱ニシケン。節目の年となった2010年12月期決算は、売上高が前期比2%増の151億5800万円、経常利益が同7%増の12億2400万円、自己資本比率が40・7%という結果を残した。「お客様に支えられ、成長させて頂いて今日がある。50年分の感謝の思いを胸に刻み、さらなる飛躍に向けた51年目の船出に乗り出す」と前を見据える水田社長。
1月から、中長期計画「2011中長期五ヶ年経営計画」を開始し、2014年までに福祉、環境、アグリ(食)と新規事業の売上比率を高めていく計画で、全体の売上高が190億円、経常利益が16億円、自己資本比率が50%になることを目標に掲げている。
さらに、同月に関東地区の初拠点となる東京支社(東京都港区新橋1丁目)を開設。近距離無線機器「ブル—トゥース」を輸入販売するエレクトロニクス事業を立ち上げ、販売代理店の募集も開始している。「ブルートゥース」は携帯電話やデジタルオーディオプレーヤーを使用する際、ワイヤレスでのデータ通信を可能とするもので、パソコンの各種周辺機器や音声操作対応のカーナビ、ゲーム機のコントローラー、補聴器やインカムなど幅広い分野での活用が期待できる。

水耕栽培用ミニプラントを拡販

また、東京支社はアグリ(食)事業の拡大という役割も担う。同事業は高齢者の雇用創出と国内自給率の向上を目的にスタート。2006年に国内最大規模の「植物工場」(佐賀県三養基郡みやき町東津)を立ち上げ、人工光と自然光を併用した無農薬のグリーンリーフやフリルリーフ、サラダ菜を水耕栽培し、毎日7000株出荷している。今後は自社で開発した約6坪のスペースで水耕栽培できるプラントをレストランやホテル、老人ホームや商業施設などに提案していく計画だ。
建設投資の縮小が進み、真の実力が問われる市況の中で、コスト削減や付加価値の高い商品を提供するなど、顧客の要望を的確に捉え、実現化する「マンパワー」を発揮する㈱ニシケン。時代や顧客が求めるニーズをいち早く汲み取った新産業で、従来の岡山県以西、九州エリアから関西、関東へと乗り出し、全国に旋風を巻き起こしていくに違いない。

顧客主義を追求した先に生み出した独自の経営指針

 

企業DATA
所在地 〒839‐0804 久留米市宮ノ陣町若松1‐9
TEL 0942‐35‐5840
設立 1960年11月
資本金 8億5738万円
事業内容 建設用機械、仮設資材などのレンタル、介護用品レンタル、グラフィック事業、環境事業、アグリ事業、ペット事業、保険事業、エレクトロニクス事業
年商 151億5800万円(10年12月期)
代表者 水田明義
従業員 273人
出先 九州7県(40ヶ所)、中国地区(4ヶ所)関西(3ヶ所)、関東(1ヶ所)
URL http://www.r-nishiken.co.jp/

(ふくおか経済EX2011年)