FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱サニックス


太陽光発電システム伸長で収益体質を確立
中国でモジュールの自社生産スタートへ

(写真)戸建住宅に設置した同社の太陽光発電システム

昨年春に3カ年の新中期計画をスタート。初年度の締めくくりとなる今年3月期、「今期は、太陽光発電システムの主力商品化に向け、その基盤づくりに取り組んだ。来期はさらなる成長を見込む」と宗政伸一社長は語る。第2四半期時点で上方修正した通期見通しは、売上高300億円で前期比22.3%増、経常利益は5.5倍の12億3000万円だ。

太陽光発電は今後も拡大

09年秋からスタートした戸建て住宅向け太陽光発電システム販売は順調に実績を上げ、すでに一般家庭向けのホームサニテーション(HS)部門の主力商品へと成長。今期は年末の12月まで連続して月次売上高が前年を上回っている。
昨年12月で累計の設置数が2000件を超えたが、宗政社長は「まだ不十分な点もある。設置に関する事務的な手続きなどが迅速に進んでいない面があり、また年明けからは降雪など天気の関係で施工が遅れ気味になっている」と課題を挙げる。事実1~2月のHS部門売上は前年を割り込んでいるが、受注ベースでは安定して伸び続けているため、新年度以降も拡大が見込めるという。

発電所中央制御室

ESも太陽光が追い風に

ビル・マンションなどを対象とするエスタブリッシュメントサニテーション(ES)部門は、一昨年に事業の効率化を図って組織の再編を実施。以後、売上規模は縮小しているが収益性は改善し、今期は前期同様、黒字を見込んでいる。
ES部門においても太陽光発電事業が追い風となりつつある。昨年から集合住宅に対しての助成もスタートし、同部門でも設置実績が出てきている。宗政社長は「集合住宅における太陽光発電導入は、電気代削減などの経済メリットの他、イメージアップによる空室対策にも有効。長年メンテナンスをやらせていただいている建物のオーナー様や提携先の管理会社などにご提案を始めている。徐々に本格化していきたい」考えだ。

苫小牧発電所の発電設備

廃プラ事業では燃料の品質向上による稼動率アップを

廃プラ燃料・発電の環境資源開発部門は採算ラインに近付いている状況。北海道の苫小牧発電所の稼働は「8割ほどの状況」で、これが9割になると確実に収益が上がるようになるという。
そのために必要なものとして宗政社長は「よりグレードの高い燃料作り」を挙げ、「より効率良く運転できる燃料にするための試行錯誤を続けている。機械に関しては考えうるものはすべて導入しているが、それでも限界がある」として、最終的に不可欠な「人」の手による分別の体制を整える考えだ。
2月以降、分別の人員を増員し、数カ月かけて担当者の習熟と管理体制の整備を進めていく。またこれは、発電事業の収益向上のみならず、燃料そのものの販売を拡大することにもつながる。

上海に生産拠点を設置

太陽光発電に関しては、これまでもマーケティングや設備の据え付け後の発電・売電実績検証、関東地区における販売店網構築など様々な取り組みをしているが、現在準備を進めているのが海外における太陽電池モジュールの自社生産だ。
昨年12月、中国・上海市に太陽電池モジュールを製造する現地法人「善日(上海)能源科技有限公司」を設立、現在工場で稼働準備を進めている。近く機械の設置、従業員研修、稼働試験に取りかかり、今年夏から秋ごろに稼働させる予定だ。
同社は現在、韓国メーカーが製造する太陽電池モジュールを扱っているが、宗政社長は自社生産するメリットとして「コスト削減による利益向上とともに、自社で研究開発もできる」ことを挙げる。
既存の戸建て住宅に太陽光発電システムを設置する場合には、同一規格の太陽電池モジュールでは、屋根の面積や形状によっては全面的に太陽電池モジュールを配置することが難しく、立地条件は同じでも発電量に差が出ることも多い。そこで、「住宅それぞれの屋根の形に合わせた形状の太陽電池モジュールを自社生産することで、様々な形状・面積の屋根にも対応できるようにする」という。
また、工場は当初40〜50人の規模でスタートするが、現地中国についても環境関連分野は未開拓な部分が多く、将来的に期待できるマーケットである。さらに、マーケットは世界に広がっている。その意味でも、この海外拠点の持つ意味は大きいといえる。

宗政 伸一 社長
むねまさ・しんいち/長崎県佐世保市出身。1949年12月16日生まれの61歳

 

企業DATA
所在地 〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-1-23
TEL 092-436-8870
FAX 092-436-8871
創業 1975年4月
設立 1978年9月
資本金 140億4,183万円
事業内容 総合環境衛生管理
年商 245億3,900万円(2010年3月期連結)
代表者 宗政伸一
従業員 1,485人(2010年3月現在)
出先 HS(一般家庭向け)部門7地区本部63拠点、ES(法人向け)部門13拠点、環境資源開発部門14工場、有機廃液処理部門1工場、太陽光発電システム事業部門7拠点
関連会社 ㈱サンエイム、㈱エネルギー総合開発研究所、㈱サニックスエナジー、㈱サニックス・ソフトウェア・デザイン、㈱C&R、㈱北海道サニックス環境
URL http://sanix.jp

(ふくおか経済EX2011年)