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収益バランス重視の事業モデル構築と若手経営陣の育成目指す

昨年、MBO（経営陣による自社株買収）と株式の非公開化を実施。篠原英明社長が「事業への影響はなかった」と振り返るとおり、昨年12月期は4期ぶりの売上高1,000億円超に。今後は、不動産販売以外のストック事業などを増強し収益のさらなる安定化を図ると同時に、若手経営陣の育成にも力を入れる。

4期ぶり年商1000億円超に今期も各事業が順調に始動

2022年12月期連結売上高は、アパート・マンション販売の不動産セールス事業が大きく伸びて8.4％増の1,045億2,500万円。4期ぶりに1,000億円を突破した。
篠原社長は「全事業セグメントが順調に伸びた。昨年8月に株式の非公開化を発表した後も、販売現場などへの影響は全くない」と振り返る。営業利益はMBOや上場廃止に伴うコスト発生によって一般管理費が膨らみ8.1％減の82億2,200万円だったが、「通常通りならば90億円超の水準」という。
今期も3月までの第1クォーターで、主力の不動産セールスは、アパート、マンションともに前年同期を上回る契約件数で好調な滑り出し。そのほか、物件管理などの不動産サービス事業、ガス・電気小売のエネルギー事業は、管理物件の数に比例して増えていくため、同様に昨年を上回っており、ゼネコン事業も前期は増収で今期も伸びる見通しだ。

ライフサポート、海外事業の取り組みも着々と

介護関連のライフケア事業も伸びている。今年4月1日には、これまで粕屋町で運営していたデイサービス「アップライフ東福岡」を福岡市東区のサービス付き高齢者住宅「寿らいふアクアヴィラ香椎浜」1階に拡張移設、アクアヴィラに居住する利用者の移動の負担や時間のロスを大幅に改善した。
またアップライフ東福岡の移設に伴い、5月1日には粕屋町の施設2階で運営していた放課後等デイサービスの「キッズライフ東福岡」を1階部分にも拡充する。篠原社長は、「介護事業も充実してきたが、まだまだニーズに応えきれていない」として、今後も「施設の整備、増設とともに、スタッフの拡充にも対応していきたい」という。
また海外事業においても昨年、阪急阪神不動産などがインドネシアの首都ジャカルタの巨大商業施設「セントラルパークモール」を取得した際に、グループのインドネシア現地法人がファイナンシャルアドバイザーとしてサポート。今後も同国内での不動産ファンドに関連するライセンスを活用したビジネス展開を強化していく。
こうした取り組みによって、連結売上高は今期も1,000億円超、営業利益は100億円を社内的な目標とし、来期以降もその継続を目指す。

次世代の人材育成も

同社では「ビジネストランスフォーメーション」を掲げ、現在の不動産セールス事業が主力となって収益をけん引する形から、他の事業の収益力を上げ、全体の75％以上を安定して稼ぐバランスの取れた収益ポートフォリオによるビジネスモデルへの転換を目指している。
篠原社長は「不動産サービスやエネルギー事業はストックビジネスとして厚みを増しているが、まだ十分ではない。М＆Aなども念頭に置きながら、不動産セールス以外のボリュームを増大させ、収益のさらなる安定化を図っていく」考えだ。
一方で不動産セールスもさらなる伸長を目指す。現在の個人向け販売中心から、法人向けやリートへの販売に軸を移す考えで、昨年、一旦見送ったリートの上場も「マーケットの状況を見ながら、適切な時期に改めて実現を目指す」としている。
また昨年実施したMBOに伴い、4月1日付で会社合併を実施。「社名や会社の経営など実質的に従来のままだが、玉置貴史専務を最高執行責任者（COO）とする体制にした。今後、各事業会社を含め若い経営陣を育てていくことも私の務め」と、次世代の育成に力を注ぐ考えを示している。

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（ふくおか経済EX2023年）