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事業拡大に向け介護職員の確保と定着に専心

（写真左上）昨年8月に完成した新社屋（北九州市小倉北区足立2丁目）
（左下）階段室
（右側）上から、エントランスホール、会議室、食堂、応接室

全国112カ所で介護サービス事業を展開。コロナ禍で苦戦を強いられたデイサービス事業のV字回復を目指し、営業強化に力を注ぐ。介護職員の確保と定着を目指し、資格取得支援や研修体制の整備にも取り組む。外国人雇用も着実に進行し、活躍のフィールドが広がっている。

デイサービスの利用促進強化

デイサービス、有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを全国112カ所で展開。創業当時からリハビリテーションに重点を置き、一人一人とのコミュニケーションを大切にしてきた。永く、元気でその人らしく、健康に暮らすための支援をしている。
デイサービスは、ゆとりある空間を生かした大規模型施設（80人規模240㎡以上）を中心に展開。トレーニングルームをはじめ、カラオケやシアター、マッサージルームなど各個人に合った活動を楽しめるのが特徴だ。認知症対応デイサービスも設置し、既存施設を要支援・要介護の分類に加え、運動能力低下や認知症利用者に分けてそれぞれに合ったサービスを提供するなど、工夫を凝らしている。訪問看護、居宅介護支援などの在宅サービスにおいてもスタッフのきめ細やかなフォローがあり、利用者からの信頼が厚い。
介護付有料老人ホームは、施設見学や体験など気軽に入居できるシステムと24時間365日の万全なサポート体制が強みだ。1階フロアでは、スタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリを行い、居室では自宅に居るのと同様に、支援が必要な入居者は介護サービスを提供。家庭菜園など近隣の保育園や地域住民との交流ができるスペースもあり、好評を博している。
座小田孝安社長は「コロナ第7･8波の影響によるデイサービスの利用件数減、感染対策の費用増や光熱費高騰などで苦戦を強いられた。各施設に営業職員を配置し利用促進を図るほか、SNSの活用や施設内のイベント強化に取り組み、V字回復を果たしたい」と決意を述べる。ケアプランセンターを増設し、デイサービスとの連携強化を図る意向で、地域包括ケアシステムに対応できる環境整備を急ぐ。並行して、需要が高まっている訪問看護ステーションの開設を福岡中心に進めていく方針だ。

4階建ての新社屋が完成

昨年8月に4階建ての新社屋（北九州市小倉北区足立2丁目）が完成した。社員食堂を新設し、セミナールーム、完全個室型の作業スペースも設置。長期的な経営基盤の強化に向けて機能を拡充した。施設展開では、子会社の㈱パイン（福岡市東区和白丘2丁目、松尾剛社長）が昨年4月に介護付有料老人ホーム「わらび花の郷」（埼玉県蕨市、100室）をオープンしており、有料老人ホームの入居率は現在97.8％。座小田社長は「1都3県と政令指定都市を中心に、ニーズのある地域への拠点検討と営業強化に取り組む」とし、引き続き特定施設の公募にも積極的に応募していく考えを示す。昨年11月には宇佐町デイサービスを小文字デイサービス等と統合。M&Aの活用も視野に、事業拡大に努めていく。

（写真上）説明を受ける技能実習生 （下）新社屋の食堂で交流

着実に進む外国人雇用

介護職員の確保と定着に向けた対策も強化。介護職員処遇改善支援補助金制度を利用した賃金の値上げ、介護福祉士などの資格取得支援に取り組む。毎年高卒の新卒を20～30人採用しており、研修体制も整えているほか、介護DXの導入も検討し、労働環境改善に全力を尽くす。また、外国人技能実習生の受け入れも継続。22年度はインドネシアから21人が加わり（受入先：北海道、埼玉、千葉、神奈川、福岡）、累計で34人となった。うち6人は「特定技能」を利用した受け入れで、今後も雇用促進に力を注ぐ。

座小田 孝安 社長 ざこだ・たかやす／北九州市若松区出身。1963年1月25日生まれの60歳。国立療養所福岡東病院附属リハビリテーション学院卒。16年6月社長就任。趣味はスポーツ観戦

（ふくおか経済EX2023年）