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SPD需要増に対応
新中計で次の成長フェーズへ

今年で創業115年を迎える地場老舗の総合医療機器商社。SPD需要の増加を背景に、南九州の物流拠点開設や新システムの開発を通じて質の高い最適な医療の提供に努めている。また、DX人材育成とIT活用の取り組みを強化。6月からスタートする次期中期経営計画でさらなる成長を目指す。

宮崎県えびの市に南九州物流センター開設

「社会が求める社会から必要とされる本物の企業を目指す。本物とは何かを常に探求しながら」。
九州屈指の総合医療機器商社㈱キシヤは、この経営理念のもと医療機関との信頼関係を築き、発展を続けてきた。昨年10月、宮崎県えびの市湯田の「えびのインター産業団地」内に南九州物流センターを開設。床面積は約300㎡で、鹿児島、宮崎と熊本南部の医療機器配送に加えてSPD（病院内物流管理）システムの拠点機能を兼ねるほか、グループ会社野物流フォローの役割も担う。同市と企業立地協定を締結し、現地雇用の創出にも一役買っている。緒方裕輔社長は「高速道路からほど近く物流に最適な立地条件で地震などの災害リスクにも優れており、効率化が図れている。南九州エリアはSPD業務委託が年々増えているため、新規受注にも力を入れていく」と語る。
2024年5月期決算で売上高880億円となり、売上目標850億円の5カ年中期経営計画を1年前倒しで達成した。「病院経営の環境が厳しさを増す中、業界では専門性の向上と価格や品質管理に関する要望への対応力が求められている。今後も質の高い最適な医療の提供に寄与していきたい」と緒方社長。6月から始動する次期中期経営計画でのさらなる成長に期待を寄せる。

（写真）2025年度採用の内定式

SPDの新システムを開発

SPD需要の増加に対応すべく、現在地場システム開発会社との共同開発でSPDの新システムの構築を進めている。百田昌史取締役は「テーマは省人化と精度向上。ヒューマンエラーや属人化の防止並びに納期や配送状況の正確な管理で、病院経営と医療現場スタッフの業務効率向上につなげていく」と説明する。同事業の開始から30余年で培ってきた圧倒的なサンプル数を生かし、今後は蓄積した分析結果やデータを提供することで病院経営の課題解決に貢献したい考えだ。5月から施設に随時導入し、今秋をめどに完了を目指す。

（写真）内定者歓迎会

DX人材の育成に注力

事業拡大に伴い、新卒中心に採用を強化。1day仕事体験や医療業界合同セミナーなどを通じて、優秀な人材の確保に力を注いでいる。選考はオンラインと対面のハイブリッドで実施、今春は新卒17人が入社した。新入社員研修は、医療知識がゼロベースと想定してカリキュラムを構築。病院の区分や人体についてなどの基礎から学んでいくほか、先輩営業社員に同行するOJT研修も実施している。その後も医療機器勉強会や営業スキルアップ研修、階層別研修など、多彩な教育制度を生かした人材育成が強みだ。
また、今期から情報システム課をデジタルイノベーション部に変更。社内の間接部門のIT化促進に全力を上げる。人材育成の一環で、若手社員を中心にDX推進チームを組成。外部人材を活用し、RPAを活用した業務効率化アプリの開発に取り組むなど、リスキリングを進めている。
真心を知識で包んで仕事に臨む―。長年築いてきた信頼関係を基盤に、常に時代の変化に対応しつつ、新しい挑戦を続けていく。

緒方裕輔 社長 おがた・ゆうすけ／久留米市出身。1970年2月23日生まれの55歳。93年2月同社入社、14年営業本部長・執行役員部長、18年取締役営業本部長、19年常務取締役営業本部長、21年9月から現任。趣味はトレッキング

採用情報
募集職種／総合職（営業、物流、総務）、
一般職（事務）
応募資格／2026年大学卒業見込み（全学部全学科）
採用実績／2025年度17人
採用予定／20人程度
インターンシップ／夏季からWEB開催予定
問合せ先／TEL.092-510-1000
担当／人材開発課係長　内村朱梨

（ふくおか経済EX2025年）