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持続的成長への多角化で顧客価値創造

（写真左上）アウトランダーPHEV
（右上）電動車いす「WHILL Model F」
（下）ベトナムの合弁会社を訪問

九州北部·中部エリアの三菱、スズキ系の自動車販売会社9社で構成。西日本最大級のディーラーとして九州5県で約80店舗を展開する。近年は、新モビリティサービスの進出を機に事業領域を拡大。生涯にわたり顧客に関わるトータルライフサービスを長期ビジョンに掲げ、総合商社としての道を前進させる。

生涯顧客と関わるビジョン

3カ年中期経営計画「T計画」2期目に入った。KMGホールディングスの中核企業である九州三菱自動車が創業して75年を迎える2026年度を最終年度に置き、達成に向けて、数人で構成する9つの委員会を設置。「半期ごとの進捗報告を実施し初年度は順調に推移するが、今期は次期中計を見据えた重要な年になる」と気を引き締める牟田弘昭社長。
T計画では、EV拡販、バリューチェーン収益拡大、ソリューション事業強化推進、持続的成長を支える人材／人財採用と育成、KMGブランド認知拡大の5本柱を掲げている。主力事業の新車販売では、デリカミニや新型アウトランダーなどがアウトドア需要を追い風に好調に売り上げを伸ばしているが、将来的にディーラーの枠を超えた、ライフプランをトータルサポートする方向へ進化するステップと位置付ける。
そのため、期中に6店舗の建て替えを実施するなど販売店機能を強化し、近年、ニーズが高い中古車販売拡充、EV、電動ドライブステーションに加えて、PHEV(プラグインハイブリッドカー)などの大容量バッテリーを家庭用電源として活用する「V2H」や保険の販売、防災講演などを含む新たなサービスを展開することで幅広い価値を提供している。

新たな移動の概念を実現

一方、同社は車を降りてからの移動手段「ラストワンマイル」市場の開拓にも注力しており、特に、高齢化社会に対応するため、新モビリティの導入を進めている。具体的には、電動車いす「WHILL(ウィル)」、セニアカーや電動キックボードなどラインアップを増やしサービスを拡大。さらに今年２月から、レンタカー事業において同社が納入したWHILLのレンタルサービスを開始した。これにより、レンタカーと近距離モビリティを組み合わせた新たな移動手段を実現し、高齢者や障がい者などの多様なニーズに応えている。

グループ総合力で事業多角化へ

「“総合商社”と呼べるすそ野の広さを備えることが目指すビジョン」と強調する牟田社長。その足掛かりとして昨年11月末にベトナム企業と協業に関する合意契約を締結、ベトナムで中古車マーケットを新規創設し、システム化することで収益事業として成長させる。また、筑後市のピーアットライフを子会社化し、ECサイト「森のこかげ」の運営を継承、通販事業に参入した。「商機を見出すためネット販売のノウハウをもつことは大きい」とし、事業の多角化を進めるビジネスに挑戦する新たな一歩を踏み出した。
こうした多角化経営にはグループの総合力を高める人材育成が不可欠だ。同社は近年、ワークライフバランスの実現に向けた制度を整備し、全社員を対象にしたキャリアアップにつながる資格取得支援や、今年度から現場と管理部の一斉休暇を導入して従業員一人ひとりの生産性向上を追求する。さらに、現在、評価の透明性を重視した人事評価制度の見直しを進めており、従業員のエンゲージメント向上を目指している。「生涯にわたりお客さまと関わっていくことが我々の長期ビジョン。そんなKMGの持続的成長を支える人財の育成に一層力点を置く」と経営の思いを語った。

牟田弘昭 社長 むた·ひろあき／佐賀県出身。1957年11月11日生まれの67歳。78年7月九州三菱自動車販売佐賀支店入社。2013年6月執行役員兼佐賀支店長、15年6月上級執行役員兼グループ経理副本部長、17年6月KMGホールディングス取締役兼グループ経理本部長、19年6月九州三菱自動車常務取締役兼グループ経理本部長、21年6月常務取締役兼営業統括本部長、22年6月から九州三菱自動車代表取締役社長を務める。趣味はゴルフと読書

採用情報
募集職種／営業·自動車整備
応募資格／2026年3月大学·専門·高校卒業予定者、既卒3年以内も可
採用実績／2025年度64人
採用予定／100人程度
問合せ先／TEL.092-707-0590
担当／加藤、熱田、津末

（ふくおか経済EX2025年）