NEWS

EVスクーター事業を共同研究 新出光


週刊経済2025年12月24日発行号

九大や福大などと効果検証

石油製品販売大手の㈱新出光(福岡市博多区上呉服町、出光泰典社長兼グループCEO)は11月18日、自社EVスクーターのシェアリングサービス事業「ラクすく」について、昨年8月から開始していた九州大学や福岡大学、高麗大学との共同研究結果を発表した。

近年、公共交通が十分に整備されていない地域では、移動の不便さが社会的・経済的不平等を拡大させる要因となっている。同共同研究は、こうした「交通の公平性」の観点から、同事業がどのように移動アクセスを改善するかを明らかにするために実施。ラクすくの乗車データと地理情報データを組み合わせて数理的に分析し、「利用者のアクセス改善に資する効果の検証」「アクセス向上効果の地域分布の可視化」をテーマとして、持続可能な交通社会の実現に直接つながるかについて研究。このほど研究結果の論文が交通地理学で最上位の学術誌「Journal of Transport Geography」に掲載されたという。

共同研究では、ラクすくの2022~24年の走行データ約9万7千件を3大学の研究チームに提供。分析の結果、公共交通の選択肢が限られるエリア(例・春日市、糟屋郡など)ほど、EVスクーターがバスや鉄道と比べて移動時間・距離を短縮し、駅や中心市街地へのアクセスを改善することが明らかになった。一方、時間課金制のため、長距離利用時の費用負担が高くなる傾向も確認された。これらの成果は、EVスクーターが地域の交通格差を補う有効な手段であること、料金補助やポート配置の最適化などの政策的支援でより公平で持続可能な都市交通の実現が可能であることを示唆した。

新出光ではこれらの成果をもとにラクすくの需要予測マップを作成。これまで福岡市中心だったポート設置を、現在は大野城市や春日市へとシフト。福岡市内では駅から1キロ以上離れたバス路線しかない郊外エリアへの拡大など、今後もこれらの情報をもとにポート戦略を実施していき、交通格差を無くしていく方針。