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AI活用の流入量予測技術を開発 ニシム電子工業


週刊経済2025年2月19日発行号

ダムの流入を6時間先まで予測可能

電気通信機器の開発、製造、販売などのニシム電子工業㈱(福岡市博多区美野島1丁目、山科秀之社長)は1月、AIを活用した流入量予測技術を開発し、M&C鳥取水力発電㈱(鳥取県、冨田剛社長)で導入した。

M&C鳥取水力発電㈱が日本初の水力発電所のPFI事業として運営する中央遠隔監視制御システムに適用したもの。これまで提供していたタンクモデルによる流入量予測機能はダムに精通した専門技術者による計算パラメータの作成が必要で、専門業者に依頼するなど長期的な運用コスト面で課題があった。AIを活用し過去の計測データをもとに自動的に特徴を見つけ出して予測モデルを構築することで、ダムの流入を6時間先まで予測可能。雨量変化や局所降雨による流入量を想定する。具体的には、水の先使いの実現による水力発電の効率化、大雨警戒運転に伴う早期体制構築の支援によるダム管理体制の強化、専門的なメンテナンス不要による運用負担の軽減などが期待される。同社は「今後、AI技術をさらに発展させることでダムの大量流入量を予測し、発電機に流さない無駄なゲート放流を減らすことで、水資源の最適運用に取り組む。ニーズがあれば他社での導入も検討する予定で、今後、気候など環境が違う複数のダムでの検証を進め、流入量予測精度の向上を図っていく。流入量予測に限らずAIを活用したシステムを検討していきたい」とした。