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高効率の風力発電機、年間百台販売目指す  ウィンドレンズ    九大からの大型受注合わせ年商5億円見込む


 九州大学発のベンチャー企業で風力発電機製造・販売の株式会社ウィンドレンズ(筑紫野市上古賀3丁目、高田佐太一社長)は今年度、九州大学の研究グループが開発した高効率の風力発電機「風レンズ風車」の販売で、前期比3倍の約百台を目指す。九大からの大型受注もあり、12年3月期の売上高は前期比10倍の約5億円を見込む。
 震災の影響で再生エネルギーに注目が集まるなか、08年から販売している同製品への問い合わせも増加しているため、他の再生エネルギー関連企業と組み、販売を強化する。価格は、本体に工事費を加えた建設単価が出力1kW当たり60万~65万円で、太陽光発電システムと「ほぼ同じ水準」(高田社長)という。6月には電子部品製造の株式会社羽野製作所(福岡市東区筥松1丁目、羽野喜昭社長)と組み、同社の太陽光発電機と組み合わせた小型システムの販売を開始した。
 風レンズ風車は、リングに入り反対側に抜けた風が出口付近で空気の渦を発生させ、リングに流れ込む風の量が増えて羽根の回転率を高めるもので、従来の発電機に比べ発電量が増える効果が実証されている。同社の主力製品の出力4kWは、風速毎秒4メートルで24時間発電すると、42型の液晶テレビを27時間観賞できる電力を得られるという。また、羽根の動作音が小さいのも特徴。高田社長は「数カ月前まで、月3、4件だった問い合わせが、震災以降は1日3、4件に増えた。非常用電源を確保したいというニーズが高まっている証拠」と話している。
 同社は2008年4月設立。資本金は6百万円。従業員は6人。高田社長は1951年7月11日生まれの59歳。兵庫県尼崎市出身。ポンプメーカーの株式会社酉島製作所(大阪府高槻市)で大型風力発電機の設置に携わる。退職後、九州大学研究グループの大屋裕二教授に誘われて同社を立ち上げた。