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重粒子線がん治療施設「サガハイマット」が開院  佐賀国際重粒子線がん治療財団    6月1日に現地で開院式


 佐賀県鳥栖市原古賀町の新鳥栖駅前に完成していた九州国際重粒子線がんセンター(通称・サガハイマット)が6月1日、開院した。同日、佐賀県の古川康知事や同県医師会の池田秀夫会長、橋本康志鳥栖市長らが出席した開院式があり、九州では初の重粒子線がん治療施設となる同施設の稼働を祝った。
 午前8時半から行われたセレモニーでは、古川知事と十時忠秀財団理事長による正面入口に設置された銘板の除幕式が行われたほか、橋本鳥栖市長、池田佐賀県医師会会長、工藤祥サガハイマットセンター長、羽根幸子同センター看護師長らが加わったテープカットなどが行われた。主催者を代表してあいさつした十時忠秀理事長は「サガハイマットの開設に向けて準備を始めたのが6年前。佐賀県から始まった先進医療のプロジェクトが現在、九州全体のプロジェクトとしてスタートすることになった」とした上で、「企業だけでなく、多くの市民の皆さんが1万円、5000円と寄附をしていただいたことをしっかり受け止め、日本一の治療を行う施設として治療活動にあたっていきたい」と意気込みを語った。
 また、古川知事は「開院するに至ってはいくつかの式典やセレモニーがあったが、今日の開院式が最後の行事となる」と切り出した後、「がんの死亡率が全国に比べて佐賀県が高かったことから本プロジェクトの設立に向けて準備を進めてきた。無事に開院することが実現し、嬉しく思う。重粒子線がん治療は公的保険が適用されない先進医療で、どういうルートで情報を発信していくかが課題だったが、5月末に開かれた内覧会には1500人近い市民の皆さんが見学に来られた。資金面で課題は残るが、九州の中で医療の希望の星”となれるような治療活動を展開していただきたい」と期待を寄せた。
 「サガハイマット」は、光速の約70%に加速した炭素イオンをガンの病巣にピンポイント照射し、ガン細胞を死滅させる放射線療法に取り組む国内では4カ所目、九州では初めての施設。建屋は鉄筋コンクリート造り3階建てで延べ床面積は約7500平方m。総事業費は約180億円。昨年10月に建屋が完成し、炭素イオンを生成する加速器や治療必要な機器の搬入作業が行われていた。運営は佐賀県などが出資する公益財団法人・佐賀国際重粒子線がん治療団。九州新幹線の速達列車「さくら」のほとんどが停車する新鳥栖駅前に立地していることや、福岡市に本社を置く七社会など福岡県内の地場企業などが寄附をしているほか、福岡県も約5億6000万円の補助金を支出していることから、「九州の重粒子線がん治療施設」としての側面が強い。6月1日には紹介外来、セカンドオピニオン外来を設置、患者の受け入れを始め、8月からは前立腺がんの治療から開始、12月には先進医療の本格的な治療をスタートさせる。