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警備要員の充足が最優先課題 大坪潔晴㈱にしけい社長


週刊経済2023年12月5日発行号

高収益の機械警備拡充も

─今年の業況を振り返って
大坪 基本的には、警備業にとって大変厳しい状況が続いている。コロナ禍の終息で警備需要はかなり回復しているが、それに対応する要員が不足しており、今年受注した世界水泳、ツール・ド・九州の警備は、同業他社との協力体制の中で何とか警備を全うできたという実情。また空港保安検査業務でも欠員状況が継続しており、年間を通じ中途採用を含む採用努力を継続している。
需要増で売り上げは確保できていますが、一方で警備原価の負担も増えている。当社では人件費に加え、高騰している原材料費、また多くの車両を使っているので燃料費の負担もかなりある。そのため前期の利益水準に届いてない現状だが、一気に改善するのは難しい。今年の春闘では政府主導で賃上げが叫ばれ、大手企業の中には要求以上の回答をしたケースもあったが、中小企業はその原資を確保できないのが実情だ。
当社ではそういう状況をお客様に説明して、可能であれば警備料金の値上げをお願いしている。政府も適正価格での取引をと言っているが、一朝一夕にすべて認めていただける話ではない。今年度の下期も厳しい環境は続くであろうと見ている。
─新年、あるいは新年度に向けた取り組みは
大坪 まずは採用を拡充させ、需要にお応えすることが最優先で、それができれば収益性も改善できると期待している。また収益改善という意味では、事業分野の中で利益率が高い機械警備の比率をいかに上げていくか。すでに取り組んではいるが、さらに最新のAI技術を取り込み、画像との組み合わせによる新たな機械警備をご提案していく。
同時に社内の業務効率化のため、DX・業務改革推進部を設置して取り組んでいる。管理費の負担を軽くして利益率向上、ひいてはお客様への還元にもつながると認識している。
─新商品の開発などは
大坪 コロナの時期には非接触型の検温機の販売を進めてきたが、今期は社会問題にもなった、幼稚園や保育園の通園バスの置き去り事件に対応する置き去り防止装置の販売に力を入れている。今年4月には設置が義務化されており、今年3月まで補助金の対象になっているため反響もある。現在、塾やスポーツジムなども含め、送迎サービスをされているところを対象に提案を進めている。
また営業の方では、農家向けに獣害対策、農作物盗難防止などの商品の開発を検討している。すでに電気柵などを設置されているケースもありますが、より効果的な商品を目指している。
─次年度は中期経営計画の最終年度になるが
大坪 中計の仕上げに向けては、要員確保、収益率向上への対策をしっかり講じて、最終的には目標を達成したい。現時点では、売上高・利益ともに、要員不足が主要因となって、中計目標に届いてない状況。最終年度には利益も含めて目標に到達できるよう、全社を挙げて取り組んでいきたい。