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総投資額約6億円を投じ新宮町上府に新本社工場 第一施設工業 3月にも着工、8月末までに完成予定


 半導体・液晶工場のクリーンルーム(無塵作業室)向け垂直搬送システムの製造、第一施設工業株式会社(福岡市博多区松島三丁目、篠原統社長)は総投資額約六億円をかけ、粕屋郡新宮町上府両堤に新本社工場を建設する。三月にも着工し八月末までに完成させる予定。
 同社は製品レベルの向上を図り、新宮町大字上府の新宮開発研究所内の組立工場のクリーンルーム化と、同所に事務所棟を新築し設計部隊の本社からの移転を構想していた。しかし今後さらに受注の増加が見込め生産能力の増強や製品ラインアップの充実を図る必要性があることや、 本社と開発研究所の連携や業務効率化の促進を目的に開発研究所の近隣地に工場および事務所を新たに建設し本社を移転する。
 場所は新宮開発研究所の北側二~三百メートルに位置するスバルのモータープール跡。二月中旬に富士重工業と売買契約を正式に交わす。新工場の敷地面積は八千七百五十六平方メートル。計画では天井高十メートルの工場とそれに連なった三階建ての事務所を建設。建築面積は二千百十四■。延べ床面積は工場が千五百六十八六平方メートル、事務所が千百二十一六平方メートルの計二千六百八十九六平方メートル。新工場は同社主力製品である垂直搬送システムを担当する搬送事業部の工場となる。完全クリーンルーム仕様でテストタワーも兼ねた組立工場(床面積三百三十六■)、準クリーンルーム仕様の一般組立場(四百四十八六平方メートル)と梱包場(三百三十六六平方メートル)のほか、出庫場(四百四十八六平方メートル)で構成している。
 事務所は一階(三百七十六六平方メートル)が総務部、購買課、保守部、製造部、ロッカー室、打ち合わせコーナーのほか、協力業者事務室も設ける。二階(三百五十二六平方メートル)が建築部、環境部、社長室、応接室、顧問室(公開 準備室)、会議室、倉庫、書庫、ロッカー室となる。三階(三百九十三六平方メートル)が設計部、搬送事業部、会議室二室などとなる予定。
 設計は株式会社島田建築設計事務所(福岡市中央区大名一丁目、島田隆一社長)が担当するが、建設会社は二月中旬段階では未定で、三月にも最終決定し、同月内にも着工したい意向。投資額は土地代や移転費用などを含めて概算で六億円を見込んでいる。現本社屋や古賀市および福岡市東区松島の不動産は売却する方向。
 また、新宮開発研究所は第二の柱と定める「非接触」搬送・洗浄装置を担当する開発部が使用する。新工場と開発研究所は近隣にあることから、受注状況に応じて、設備、人員面などを補完させ合う。

 株式公開に向けた新3カ年計画

 また同社は新三カ年計画(〇五年一月期~〇七年一月期)を策定、〇七年の株式公開を目指す。
 同社の〇四年一月期決算は未確定ながら売上高が前期比約一二%増の二十三億円、経常利益が同六~七%増の五千五百万円となる模様。さらに今期は台湾、韓国、日本の主要半導体・液晶メーカーの設備投資の増加で主力の垂直搬送機の売上高が同一・五倍の二十三億円を見込めることから、最低でも全体の売上高が三〇%増の三十億円以上、経常利益が六四%増の九千万円以上を予想している。
 三カ年計画では今期中にも第三者割当増資の実施や主幹事証券会社、 監査法人を決定するなど株式公開に向けた準備も進める。最終年度となる〇七年一月期は売上高が四十五億円~五十億円、経常利益が三億円以上を想定している。
 篠原社長は「前の三カ年で財務内容も大幅に改善した。この三カ年は新本社工場建設のほか、第二の柱と定める非接触搬送・洗浄装置でのシェア獲得など攻めの経営に転じたい」と話している。
 同社は一九六七年設立、資本金七千九百五十万円。エレベーターの据付工事業から九〇年にメーカーに転換。研究開発型企業を標榜し、現在は半導体クリーンルーム向けの垂直搬送システムで主要な日本、韓国、台湾でトップシェアを誇る。さらに「非接触」という新たな概念を用いた搬送システムや洗浄装置(縦型搬送)を開発し第二の柱と定め、シェア獲得を狙う。

2004.2.17 発行 週刊経済より