NEWS

  • 地域

福岡市を「オープンデータ」先端都市へ  アジア都市研究所   恒例の都市セミナーで海外事例


 福岡市の関連組織、公益財団法人アジア都市研究所(福岡市中央区天神、安浦寛人理事長)は3月7日、アクロス福岡で「都市のオープンデータ推進」をテーマとした都市セミナーを開催した。
 市外郭のシンクタンクとして、年度の研究成果を発表するセミナーで、今年で6回目。12年度のテーマは、国や自治体が利用に関わる制限なしで、公益性や利便性の高いデータを公開する「オープンデータ」を題材に、アジア諸都市の事例などを紹介した。安浦理事長は「日本は技術的には世界最先端といえる水準であるにも関わらず、実際の取り組みはアメリカや欧州などの先進国に大きく遅れている。福岡市がオープンデータの先進都市になれるよう、今年度の研究成果を元に福岡市へ積極的に提言を試みていく」とテーマの意義を説明した。
 基調講演では、野村総合研究所の城田真琴上級研究員が、オープンデータに関わる国内外の実績を紹介し、「アメリカではオバマ大統領が積極的に政府が情報を供給すべきとの姿勢を示し、急速に事例が拡大している。対して日本は、法制面の課題などが数多く残る」としながらも、「政府は昨年、電子行政オープンデータ化戦略を打ち出して本腰を上げた。また福岡市などは、オープンデータの導入に向けて、4市共同でICT活用推進協議会を4月に発足する。今年は大きな前進が期待できるのでは」と展望を語った。
 続いて香港、台湾から招かれたパネリストによる各都市の事例を紹介。両都市ともに、アジアの中では電子行政に力を入れており、公開した情報を元にしたスマートフォン用アプリ開発などの実績を発表した。一方で、行政がデータを取り扱うことの難しさにも触れ、香港は「データの透明性も大事だが、何より高い利便性、それをどこよりも早く提供してビジネスに結びつけることが大事」としたのに対し、台湾は「データを活用するのは民間企業の役割。行政は公益性に重点を置き、より多くのデータを効率よく提供することが肝要」と話し、オープンデータで重視するポイントの違いが明確になった。