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海洋プラゴミの調査分析本格化へ 太平環境科学センター


週刊経済2022年3月29日発行

長崎大学、ゼオライトと

水質、土壌などの分析、測定業務を手掛ける㈱太平環境科学センター(福岡市博多区金の隈2丁目、坂本雅俊社長)は、今後産学連携による海洋プラスチックゴミの本格的な調査・分析事業に乗り出す。
海洋汚染や生態系に及ぼす影響が問題視されている海洋プラスチックゴミについて、2021年秋から長崎大学大学院の中谷久之研究室と共同研究を開始。ろ過装置で濃縮した海水からナノメートル(100万分の1ミリ)サイズの粒子になった海洋プラゴミを調査すべく、地場水処理プラントメーカーのゼオライト㈱(福岡市博多区、嶋村謙志社長)が開発した海水回収装置を用いて、今年から実証実験を開始している。調査では限界ろ過膜技術と呼ばれる高い圧力をかけた海水を特殊なフィルターでろ過することで、16トンの海水を16リットルまで濃縮し、20ナノメートル~20マイクロメートル(1千分の1ミリ)という微細な粒子のサンプリングの採取を実現。この高濃度の海水からナノサイズのプラゴミをサンプリングした事例は世界初だという。
現在同大学とは、水質調査用の水上ドローンの開発も進行しており、今後はこれまでの実績とさらにドローンを活用した広範囲での海洋調査も視野に継続的にサンプルを集め、マイクロ・ナノプラスチックの調査に必要な調査・データ解析手法の確立を目指す。