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次期中計でソリューションビジネスを強化 西日本鉄道
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週刊経済2026年新春特別号
次期中計は長期ビジョン達成への第2段階
西日本鉄道㈱の林田浩一社長は、本誌1月号「新年トップインタビュー」に応え、2025年の振り返りと26年の展望について語った。以下、インタビューを抜粋。
―2025年を振り返って。
林田 天神大牟田線が開通から101年を迎え、次の100年を見据えて開発したワンビルを開業できたことは、当社にとっても、また福岡の街にとっても非常にエポックメイキングな出来事だった。開業から8カ月余り経ち、当初の狙い通り「創造交差点」というコンセプトが浸透してきたと感じている。ワンビル開業に伴い、本社も天神へ帰還した。約700人が勤務する新本社では、その時々の仕事内容に合わせた場所を自由に選択できるABW(Activity Based Working)を導入。社員が自ら働き方をデザインすることで、自己表現やウェルビーイングにつながる環境を整備している。
―今年度第2四半期は営業収益が前年同期比6・8%増の2222億5800万円、経常利益が8・8%増の143億7800万円で増収増益だった。
林田 非常に良い中間決算だったと評価している。業績をけん引したのは、首都圏で安定的に稼げるようになってきた住宅事業で、「ガーデングランデ横浜戸塚」などのマンション販売戸数が増加し、増収に寄与した。また、落ち込みが懸念されていた物流業も、国際物流事業において為替変動による円換算額の減少の一方で、アジアを中心に取扱高が増加したことで増収となり、予想以上の好業績につながった。
―4月には天神大牟田線・貝塚線の大きな運賃改定が控えている。
林田 消費税対応を除けば本格的な改定は、約30年ぶりとなる。沿線の少子高齢化やマイカー移行などで、鉄道の輸送人口は減少傾向にある中、持続可能な公共交通を維持していくことが最大の課題。運転士不足や技術者確保に向けた待遇改善をはじめ、コロナ禍に抑制していた安全に関する投資、朝ラッシュ時の輸送力増強などのサービス改善投資の費用がかかる。利益を追求するのではなく、あくまで事業を継続するための設備や職場環境改善などの投資となるが、お客さまには負担がかかるため、より一層の経営努力を重ねながら、事業運営に取り組んでいく。
―海外不動産事業は。
林田 25年10月に当社初の海外オフィス開発として、インド・ムンバイにおける賃貸オフィスの共同開発事業への参画を発表した。海外事業はベトナム、フィリピン、北米を重点エリアとしているが、今後はインドをはじめ、不動産需要が高まるエリアをしっかりと捉え、慎重に、時には大胆に挑戦を続けていく。
―国際物流事業の次期中計での展望は。
林田 米中関係の懸念はあるが、引き続き、中東・アフリカエリアも長期的には視野に入れ、現地法人などを増やしていく。航空貨物の取り扱いは、国内4位のシェアを誇るまでに成長した。さらに上位に食い込むために今後は、設備投資よりも営業マンの拡充を図り、仕事を積極的に取りにいくという構造をつくり、とにかく取扱量を増やすことを目指す。
―10月、九州地盤に農業分野に特化した卸売を手がけるヒノマル㈱(熊本市)を中核とするヒノマルホールディングス㈱(東京都)を子会社化した。
林田 ヒノマルは豊富な知識と技術で九州一円の農家や農業法人と強固な関係を築いてきた農業生産トータルサポートの専門企業で、その売上高は128億円に上る。グループの物流サービスやスーパーマーケットなどの物販サービスをはじめとする多様な事業との連携で、九州の主要産業である農業を起点に、地域の持続的な発展への貢献を目指していきたい。
―4月から次期中期経営計画をスタートさせる。
林田 次期中計は、長期ビジョンの達成に向けた「セカンドステップ」。キーワードは「ソリューションビジネス」の強化で、営業力やノウハウで稼ぐモデルを強化し、フットワーク軽く、さまざまなソリューションを提供していく。好例なのが、AIを活用した予約制のオンデマンドバス「のるーと」で、当社のシステムやバス運営のノウハウを自治体などに提供する形で、急速に全国で拡大している。交通系ICカード「nimoca」や自動車関係の運行システムなども、外販を強化していきたい。
本業を守るために、不動産のような手堅いアセット事業も経営の安定基盤としてバランスよく持ちながら、身軽で機動力のあるビジネスを広げていく。この両輪で、全社員とベクトルを合わせ、次の100年に向けた新しい西鉄グループの姿を築いていきたい。

