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早良区野芥の油山病院敷地内に新病棟を建設 泯江堂 4階建て、9月の完成を目指す


 医療法人泯江堂(福岡市早良区野芥五丁目、三野原和光理事長)は、運営する油山病院(同所、三野原義光院長)敷地内に九月の完成を目指して精神科の新病棟(北館)を建設している。
 入院患者を三カ月以内で退院させるためのプログラム、ノウハウが求められる精神科急性期治療病棟の認可を二〇〇一年三月に受けたことから、精神科の病床を増やすもの。建物は鉄筋造四階建てで、介護老人保健施設「からざステーション」の北側に建設している。建築面積は九百二十平方メートル、延べ床面積は三千二十六平方メートル。一階が急性期治療病棟(病床数・ 四十床)、二階が個室を中心とした療養病棟(同三十床)、三階が唯一の開放病棟となる療養病棟(同三十床)、四階が多目的ホールとなる。多目的ホールは最大四百人の収容が可能で、視聴覚機器を導入することで患者のレクリエーション活動や職員の会議室などとして活用するほか、予約制で地域住民にも貸し出す予定。昨年八月に着工しており、九 月の完成を目指している。
 三野原信二常務理事は「人間の住まいとしての空間づくりを意識しており、全体的に明るく家庭的なイメージとなっている。個室も多くしており治療上の効果が期待できると思う」と話している。
 精神科急性期治療病棟は、長期的な療養の必要な患者と急性期治療に よって早期退院の可能が患者の環境を区分することで効率的・効果的な精神科治療を目指すもの。高度な治療体系、人員体制を求めているため全国的にもまだ認可状況は少なく、福岡市内では同病院を含めて二ヵ所となっている。  病院施設の建て替えなど中長期計画を推進 また同法人では今後十年間程度をかけて、老朽化している施設の建て替えなどを盛り込んだ中長期計画を推進する。
 同計画ではインフォームド・コンセント(納得上の受診)、ノーマイラゼーション(健常者と障害者が共生する地域の実現)、クリオティ・ オブ・ライフ(入院・通院中の生活の質を高める)を三原則しており、より気軽に、誰でも受診しやすく、プライバシーが守られる精神科医療、老人医療をソフト、ハード面で提供することを主眼においている。今回の北館新築もその一環で、この他に老朽化が進んでいる施設についても随時、建て替えていく予定。
 同法人は一九六二年三月の設立。従業員数二百六十六人。「油山病院」(精神科、神経科、内科、循環器科)、「からざステーション」のほか、訪問介護ステーション「あいりす」、介護保険手続代行および介護相談を手掛ける「ケアセンターのぞみ」、精神科グループホーム「サンライズ山荘」を運営している。

2003.02.04 発行 週刊経済より