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売上高1055億円で2期ぶりの減収減益  第一交通産業


5期連続で大台は突破

第一交通産業㈱(北九州市小倉北区馬借2丁目、田中亮一郎社長)の2020年3月期連結決算は、売上高が前期比0・5%減の1055億9500万円、経常利益が同20・4%減の55億2200万円で、2期ぶりの減収減益となった。
新型コロナウイルスの感染症拡大の影響でタクシー、バスの利用が伸びず減収減益となったが、売上高は5期連続で1000億円の大台を突破した。営業利益は同19・9%減の53億4000万円、当期純利益は同29・5%減の29億5700万円。
主力のタクシー事業は感染症拡大に伴う外出自粛などの影響から、売上高は同3・4%減の538億4200万円。損益面では燃料単価の下落に伴う燃料費の減少、営業所の統廃合での合理化など経費削減に取り組んだものの、最低賃金の上昇に伴う人件費の高騰、新車導入やUDタイプ車両の導入推進の結果、セグメント利益は同54%減の5億9900万円にとどまった。タクシー認可台数は、前年度末に比べ110台増えて8387台。このうち94台はタクシー特措法に基づく特定地域内で稼働できない状態(休車)。稼働可能な台数としては前年度末比で131台増の8293台で、預かり減車253台は将来UD車などで復活が可能となっている。
バス事業は感染症拡大に伴う県内外の団体客、修学旅行及び海外からのクルーズ船を含めた渡航自粛に伴う貸切バスのキャンセルが相次いだほか、路線バスでも学校の休校措置で通学利用者が減少した。暖冬に伴うスキーバスの減少もあり、売上高は同7・3%減の71億4400万円。セグメント利益は営業所の統廃合での合理化など経費削減に取り組んだものの、最低賃金の上昇に伴う人件費の高騰もあり、同49・4%減の3億5000万円だった。バス認可台数は727台で、前年度末に比べ2台増えた。
一方、不動産分譲事業の売上高は同7%減の261億1700万円、セグメント利益は同8%減の15億2600万円だった。主力の分譲マンションでは完成に伴う引き渡しと完成在庫の販売の結果、売上高は同4・7%増の224億2600万円。戸建住宅の売上高は、同13・1%減の33億200万円だった。また、不動産賃貸事業では沖縄県那覇市の那覇バスターミナルビル内のテナントが稼働したことと、福岡県3棟、鹿児島県2棟、大阪府1棟、宮城県1棟、北海道2棟と各地の有名繁華街の飲食ビルを購入し、それぞれ予定通り稼働。売上高は同9・1%増の47億1200万円、セグメント利益は同8・6%増の23億5100万円となった。
不動産再生事業では大阪市北区曽根崎の飲食ビル、東京都品川区上大崎の複合ビル及び名古屋市中村区の仕入れ物件を売却した結果、売上高は同61・1%増の88億9800万円、セグメント利益は同26・7%減の5億6900万円。金融事業では期中平均融資残高及び期中貸出額が減少したことで、利息収入と手数料収入が減少。売上高は同5・6%減の15億2200万円、セグメント利益は前期に大口不良債権を処理したことで、貸倒関連費用が減少した結果、同22・2%増の7億6400万円となった。
今期見込みについては新型コロナウィルス感染拡大の影響を現時点では合理的に算定することが困難なことから未定とし、業績予想の開示が可能になった段階で公表する方針。また、感染拡大が長期化する場合に備え、取引する金融機関から最大で310憶円を借り入れることを決めた。

2020年6月9日発行