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半導体や集積回路設計の教育センター設置 有明工業高等専門学校


週刊経済2025年3月12日発行号

4月開設予定

(独)国立高等専門学校機構有明工業高等専門学校(大牟田市東萩尾町、八木雅夫校長)は4月、半導体や集積回路設計教育の普及を目的としたサーキットデザイン教育センター(CDEC)を設置する。

サーキットデザイン教育とは半導体や集積回路について多世代に早期教育するもの。今回の教育センター設置は深刻化する半導体人材不足に対し、全国の国立高等専門学校を中心としたサーキットデザイン教育の普及や教育コンテンツの開発などを目的とする。1月31日には東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター(東京都文京区弥生、池田誠センター長)と包括連携協定を締結、日本の半導体産業を支える人材の育成を進めていく。また、産学連携を強化し、企業と高専の研究者が共同で研究、そこに学生が参加することで実践的な社会実装教育を推進する。さらに、国内唯一の統合型半導体・集積回路EDAソフトウェアを持つ㈱ジーダット(東京都中央区湊1丁目、松尾和利社長)とソフトウェアの教育利用に関するライセンス使用契約を結んだ。

CDECは希望する高専に指導者とサポートスタッフの育成、EDAソフトウェアの利用支援や半導体教育プラットフォームサービス「COGAKUSEE(コーガクシー)」を提供することで、EDAソフトウェアの使用方法習得と学習効果の確認を容易にする。また、小中高生向けにはメタバースを活用した学習ソフトやサービス、教材を提供するなどして人材育成を加速させる。サーキットデザイン教育の全国展開を目指し教育基金を募集。今後約10年で総額1億円を目標としている。

CDEC設置を主導した同校の石川洋平教授は「国立高専は全国に51あり、北から南までネットワークがあることが強みだ。CDECは全国の高専と連携し、実践的なスキルを持ち研究開発を牽引できる人材の育成に尽力していきたい。本学では、座学に加えICチップを試作し、設計から製造までのプロセスなど実践的な知識やスキルを習得することができるカリキュラムを設けている。これらの実績を踏まえ、高専教育の中核拠点となりサーキットデザイン教育の裾野を広げていく」とした。

同校は1963年に創設。2024年4月1日時点で本科と専攻科合わせて1093人が在学している。