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化学プラント工事好調で上期増収増益  高田工業所


髙田寿一郎 ㈱高田工業所社長に聞く

—連結中間決算は売上高が8・4%増の269億5600万円、経常利益は69・6%増の16億1000万円で増収増益。感想は。

 髙田 思った以上に仕事の量が増えたという印象。定修工事については多い年と少ない年があり、社内ではメジャー、マイナーと呼んでいる。今期は主力事業のひとつである化学プラントの定修工事はマイナーの年回りだが、最近ではメジャーが超メジャー、マイナーでも従来のメジャー並みの工事量に増えている一方、長時間労働問題もあるが、なんとかやりくりできた。

完工高の伸びについては、前年は上期で計上できると予想していたところが下期にずれ込んだ案件もあったが、今期は想定通りに計上できた。一部は積み残しもあったが、期首にあった工事がおおむね完工まで順調に運んだ。

—下期の状況は。

 髙田 下期も仕事量的には大きな懸念材料はない。受注高としては前年とほぼ同じくらいで来期への影響はないと思う。もう少し先の情報を見ると、これまでの増加傾向から横ばいになってきている感があるが、化学プラントに関しては、メジャーが超メジャー、マイナーがメジャーという状況がもう少し続くだろう。

—当面の課題は。

 髙田 やはり人手不足、人材の確保だろう。新卒採用で大卒は今のところ前年並みは確保できそうだが、高卒は厳しい。定年後の再雇用などで対応はしているが、社員の数を増やしていくことは難しいと考えている。

ただわれわれの業界自体も、顧客の設備投資があって初めて成り立つもので、ある意味高度経済成長のもとで成長してきたとも言える。全体のパイが広がらず、社員数も減るという現状の中で、売り上げを上げる、利益を上げるといっても、今のままの業態ではどこかで限界が来る。

—その状況を踏まえて、新しい事業への取り組みもスタートしているが。

 髙田 現在の建設工事に加えて、基本設計や資材調達も含めたEPC事業へのアプローチで付加価値の向上を図っている。また、モータなど回転機器の状態を遠隔監視・診断できるクラウド型回転機械診断サービス、超音波切断装置・洗浄装置の製造販売などメーカー志向の新しい事業にも取り組んでいる。

顧客に受け入れていただけるモノ、サービスを提供できれば、人手に頼らず、自分たち次第で業績を伸ばすことができる。新年度はスピードをもっと上げて取り組みたい。

—EPCやメーカー志向の新事業以外の分野については。

 髙田 自分たちの力だけでできるのは現在取り組んでいるものまでだと思う。それ以外については、他社との業務提携やМ&Aなどの動きによって新しい分野に展開していける可能性もある。М&Aに関しては、Win‐ Winになるような話であれば積極的に考えたい。今のところ、来年度あたりまでは大きな懸念材料はないので、その間に新しい事業の種のうちから、1つでも2つでも芽が出て花が咲けばと期待している。

2019年12月17日発行