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今期業績はV字回復の様相に 九州電力・池辺社長


週刊経済2023年8月29日発行号

第1四半期で714億円の黒字に転換

九州電力㈱(福岡市中央区渡辺通り2丁目)の池辺社長はこのほど、本誌9月号取材に応じ、今期の業績が経常損益で1200億円の黒字に転換するなどV字回復の様相を呈していることなどを語った。主なやり取りは次の通り。
―今期(2024年3月期)の業績見通しは売上高が対前期比1・3%増の2兆2500億円、経常損益は前期866億円の赤字から1200億円の黒字に転換する。どのように受け止めているか。
池辺 7月31日に第1四半期の業績を発表した。売上高は前年同期比で13・7%増の4965億円、経常損益では472億円の赤字から1006億円の黒字に、純損益も348億円の赤字から714億円の黒字に転換した。燃料価格の下落により、燃料費調整の期ずれによる影響が前年同期比の差損から差益に転換したことと、原子力発電所が4基体制に復帰したことが大きかった。第1四半期の時点でV字回復を示せたことは本当に良かった。
―川内原子力発電所の川内1号機、2号機の40年超の運転に向けた対応について。
池辺 運転開始以降、細部にわたり点検を行うとともに、主要機器の取り替えを実施している。これまでに大きなトラブルもなく、安全・安定運転を継続している。原子力規制委員会のガイドラインや最新知見を踏まえ、特別点検や劣化状況評価を行い、運転開始後の60年の時点においても発電所の各設備が健全であることを確認した。引き続き規制委員会の審査に真摯かつ丁寧に対応して参りたい。
―カーボンニュートラルの取り組みについて。
池辺 特筆すべき点では、3月に当社グループのGHG(温室効果ガス)排出削減目標が、国際的な機関であるSTBイニシアチブからのパリ協定と整合した科学的根拠に基づく目標であると認められた。国内大手エネルギー事業者では初めて。今回の認定によって、積極的にESG経営を推進している会社であると受け止められることになると思う。
―再生エネルギーの取り組み状況は。
池辺 水力をはじめ、地熱や風力、バイオマス、太陽光など多岐にわたって取り組んでいる。23年7月現在の開発実績は約267万キロワットに上る。グループ会社の九電みらいエナジーが出資している三重県の宮リバー渡会ソーラーパークが5月に運用を開始したほか、兵庫県の広畑バイオマス発電所が来年1月に運用を開始する予定だ。また、北九州市響灘地区で約22万キロワットの洋上風力発電、長崎県五島沖では環境省の公募事業として潮流発電による地域の脱炭素化に向けた実証にも取り組んでいる。