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九大病院敷地にライフサイエンス特化の研究施設 福岡地所
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週刊経済2025年4月30日発行号
ラボ・インキュベーションの機能充実
地場デベロッパーの福岡地所㈱(福岡市博多区住吉、榎本一郎社長)は、九州大学馬出病院キャンパス内に新たな研究開発施設、「(仮称)福岡馬出ライフサイエンスラボ」を建設する。開業予定は来年1月。
これまで多くのオフィスビルの開発を手掛けてきたほか、Fukuoka Growth Next(FGN)などの創業支援施設を運営してきた実績を持つ同社だが、ライフサイエンス領域に特化したラボ・インキュベーション施設は初の開発事例。市営地下鉄箱崎線の「馬出九大病院前」から徒歩5分の立地で、建物は6階建てで延べ床面積は約9665㎡。1階がインキュベーション施設、4~6階がライフサイエンスラボとオフィスとなり、2、3階には九州大学病院のARO次世代医療センターと生命科学革新実現化拠点が入居する。
施設の機能面を見ていくと、まずコアとなる「ラボ」について、ライフサイエンス企業向けの「BSL2」(病原性を有するが、重大な災害となる可能性の低い病原体)レベルの実験が可能な設備を整えており、アナライザーやセルソーター、蛍光顕微鏡、リアルタイムPCRなどの研究機器を揃えた。ベンチ単位で利用可能なシェアラボ(1階)と、最小54㎡から占有利用できるレンタルラボ(4~6階)を準備しており、チームの規模に応じた実験空間を提供していく。またシェアラボでは、実験に必要な内装や設備、共通機器を提供することで、入居者は初期投資不要で、速やかに研究活動を開始できる点が強みとなる。一方、インキュベーション施設においては、長く創業支援施設を運営してきたノウハウを、随所に活かし、前述したシェアラボに加え、コワーキングオフィス、シェアオフィス、会議室、イベントスペース等の充実した設備を備え、シード期からの手厚いサポートを提供できる体制を準備。創業初期の資金調達機会創出から臨床開発までのエコシステムを構築することで、グローバルで戦える創薬プレイヤーの輩出を目指していくという。
同社担当者は「従来の福岡都心部では研究開発のためのレンタルラボが極めて少ない状況であり、有望なライフサイエンス企業の成長を応援するためにも、当社にとってチャレンジする価値があるプロジェクト」と開発の狙いを話している。