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ヤマトHDとの業務提携で物流事業拡大も 伊井田栄吉㈱ワールドホールディングス会長兼社長


週刊経済2023年12月19日発行号

 ―12月期業績の見通しは。
伊井田 増収増益の予算で達成できる見通し。中核である「ものづくり」のプロダクツHR事業は、海外経済鈍化の影響で半導体・電気電子部品・機械関連等メーカーの生産活動が停滞しオーダーが減少傾向にある中、自動車関連などへの対応を進めたことで、前期を上回る見込みになっている。
―物流などのサービスHR事業は。
伊井田 コロナ禍が収まり、リアルでの買い物も増えているが、Eコマースも着実に成長しているので、物流の方も順調に伸びている状況だ。
―不動産の方は。
伊井田 分譲マンションは即完売して、ほぼ在庫もない状況だが、不動産の価格も建築費も高止まりしているので、あまり無理はせず適正規模の開発を意識している。もう少し価格が落ちついてくれれば、事業がしやすくなるかと期待はしている。
―通信事業や農業公園事業は。
伊井田 通信事業は、携帯電話の業界自体が厳しい状況で、我々としても次なる成長が見えず、この3、4年は苦戦している。慌てずにチャンスを見極めたい。農業公園事業は非常に順調。我々の事業全体の中でCO₂削減に貢献している分野でもあり、今年も指定管理・業務委託が増えそうで、さらに伸ばしていく。
―今年はヤマトホールディングス(YHD)との業務提携もあった。
伊井田 我々の強みである物流倉庫請負や人材育成のノウハウを生かすことで、YHDさんの生産性向上等を目的とした提携。併せて社員数約1万4千人のYHD子会社、ヤマト・スタッフ・サプライ㈱(YSS)がグループに入ったことで、物流事業の裾野がさらに広がり、大きく成長するチャンスになると期待している。現在YSSの全国の拠点でヒアリングしたり、共同作業の打ち合わせをしたりしているので、本格的に動き出すのは来年からだろう。
―今期は中期経営計画の2年目だったが、数値目標を含めての評価は。
伊井田 中計スタートの2カ年は順調に乗り切れたと思う。今のところ5カ年計画の達成についても大きな問題はないという印象。不動産のバブル的な部分が今後どうなるか不安も多少あるが、主力のものづくりでは、我々の得意分野である半導体が盛り上がっていくので、当初計画は達成できる見通しだ。
―新年度の見通しは。
伊井田 予算はほぼ出来上がっているが、経済の流れが読みにくい部分もあり、ある程度抑えた形を想定している。
―来年は北九州市のビジア小倉が開業する。
伊井田 北九州市としては約20年ぶりの新築オフィスビルで完成は4月ごろの予定。街のランドマークにもなると思う。引き続き第2弾、第3弾と市と協議しながらバックアップしていきたい。