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ガン症状緩和に温熱療法「ハイパーサーミア」を本格開始   佐田厚生会佐田病院   4月1日から


 医療法人佐田厚生会佐田病院(福岡市中央区渡辺通二丁目、佐田正之理事長)は、四月一日から本格的にガン患者の症状緩和対策として温熱療法「ハイパーサーミア」を開始した。
 これは九州大学とガンの自由診療で著名な薬院CAクリニック(福岡市中央区渡辺通二丁目、森崎隆院長)と三者共同で推進している「細胞免疫療法」の充実化の一環。ガンの進行速度を緩和すると言われる細胞免疫療法の多くは自由診療すなわち保険診療外だが、保険適用内診療である温熱療法の導入で、ガン患者の症状緩和と経済的負担の軽減を目指す。
 三者が推進する細胞免疫療法とは患者自身から免疫担当細胞を採取し、試験管内で活性化・増殖させ、再度患者のガン部位に戻すことで特異的な免疫システムを再構築していくというもの。ガン細胞そのものは四一・五℃から四四℃で死滅することから、高周波の電磁波を体内に流すことで熱を発生させ、ガン周辺の温度を四〇・四一℃に暖めることでガン細胞の活動を弱くするとともに、周辺の免疫細胞を活性化することにより、ガンそのものによる症状の緩和や、抗がん剤による副作用の軽減を図る。治療は一回四十分で温熱療法専用装置「サーモトロンーRF8」に横たわり、脳と眼球を除くガン部位に高周波を四十分から六十分照射し、ガンの進行を遅らせるというもの。三月三十一日時点で約十一例の症例数を持っており、同院は月間三十例、年間で約三百六十例の症例数を予想している。
 中村光成腫瘍免疫室長は「細胞免疫療法や抗ガン剤と併用した高度医療としても、温熱療法単体での保険適用診療としてもガンの症状の緩和を目的とした治療に有用と考えられる。正常組織へのダメージが少なく、治療後の副作用や後遺症もないので、是非安心して患者さんに活用してほしい」と話している。
 同院は一九四〇年十一月開業、診療科目は外科、内科、整形外科、呼吸器外科、胃腸科、循環器科、放射線科、リハビリテーション科、麻酔科。病床数は百八十床、スタッフは二百人。

2005.4.12 発行 週刊経済より