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2年8カ月ぶりに景気判断引き上げ  日本銀行福岡支店    生産は回復傾向、観光面の影響続く


 日本銀行福岡支店(秋山修支店長)は6月17日、6月の九州・沖縄の金融経済概要を発表、熊本地震の影響について「下押し圧力が和らいできている」とし、景気全体の基調判断を引き上げた。前月は熊本地震の影響で判断を引き下げており、引き上げは2013年10月以降2年8カ月ぶり。
 個人消費は、熊本地震の発生で消費者マインドが依然として慎重なほか、観光面の大幅な落ち込みが続いているものの、営業・物流面への影響が和らぎ小売店などが営業を再開していることから、9カ月ぶりに判断を引き上げた。公共投資では、九州新幹線西九州ルートなど被災地以外の大型案件などもあって持ち直しに転じつつあり、熊本地震の復旧工事も見られていることから2カ月ぶりに引き上げた。また、震災後に生産設備の毀損やサプライチェーン障害などの供給制約を受けた生産では、設備の復旧や代替生産の進ちょくなどで生産体制が戻りつつあることから、15年3月以来15カ月ぶりに引き上げた。輸出は新興国経済の減速などの影響は残るものの、震災による供給制約が和らいでいるほか、海外向けの自動車の増産効果もあり持ち直しに転じているとし、15年2月以来、16カ月ぶりに判断を引き上げた。
 秋山支店長は「生産などの面では比較的早い復旧が見られるが、観光面では影響が続いており、注視する必要がある。しかし、夏に向けて政府の補助やキャンペーンなどの施策が表明されており、方向としては良くなっていくのでは」と今後の見通しを語った。