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100億円投じ福岡に「後工程」の新工場棟 三菱電機
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週刊経済2024年12月18日発行号
熊本の「前工程」と連動し生産強化
三菱電機㈱(東京都千代田区、漆間啓社長)は11月20日、福岡市の「パワーデバイス製作所」(西区今宿東)において、約100億円を投じてパワー半導体のモジュール組立・検査工程を担う新工場棟を建設することを決めた。
脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大する中、同社は強みとする「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体」の生産体制強化に向けた大型設備投資計画を発表。従来計画から倍増し、2025年度までにパワーデバイス事業へ2600億円を投資する計画を固め、熊本県菊池市ではSiC8インチウエハ(前工程)に対応した新工場棟を建設するなど、約1千億円の設備投資を進めることを決めている。 今回の福岡における設備投資は「後工程」の生産体制強化を図るもので、新工場棟を建設して敷地内にあるモジュール組立・検査工程の製造ラインの一部を集約。部材受入から製造、出荷までの生産工程の効率化を図る。また、進捗管理や自動搬送などを行う生産管理ツールを導入することで生産性の向上を図り、設計・開発・生産技術検証から製造までを一貫して行う体制を構築。同一面積あたりの生産性を従来比で約20%向上させる目標を掲げる。新工場棟は5階建て、延床面積は2万5270㎡。稼働開始予定は2026年10月。この発表に先立ち、福岡県か2回目の「グリーンアジア国際戦略総合特区」の法人指定を受けている。
竹見政義・上席執行役員は、大型設備投資に踏み切った背景として、「長期的にパワー半導体の需要拡大は疑いようがない」と見通しを語る。岩上徹パワーデバイス製作所長は、大型投資が進む熊本などに、生産工程を集約する検討はなかったのかという質問に対し、「前工程と後工程は完全に区別できる工程なので、拠点が分散していてもあまり問題がない。むしろBCP対策の観点からも、工程を分けることが大切」と話している。