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10月から新社名「クラフティア」に 九電工
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週刊経済2025年5月21日発行号
新中計は2千億円の投資戦略
㈱九電工(福岡市中央区天神1丁目、石橋和幸社長)は4月28日、10月1日付で社名を「クラフティア(KRAFTIA)」へ変更すると発表した。
受注の3割以上が九州外に拡大した現在、地域名・業種名に縛られない新たな発信力を求めて決断したもの。社名検討はボトムアップで進められ、社員アンケートには4千人以上が回答。若手・中堅社員約80人による意見交換を経て決定した。「K」は旧社名と創業地への敬意、「craft」は技術、「i」は革新、「a」は実行を意味する。国内屈指の実績を残す九電工陸上部のユニフォームカラーは今後も変更しない。
また、新たに策定した中期経営計画「VISION 2029」では、売上高目標は掲げず、経常利益600億円を最終年度目標に設定。企業価値向上と質の改善を掲げ、「チャレンジ&グロー2029」をスローガンに、前半3年を挑戦期間、後半2年を成長期間と位置付ける。2千億円を戦略投資に充て、そのうち800億円は、成長投資と事業領域拡大に向けたM&Aに投資する。そのほか物流施設やホテル、商業施設への出資・運営による施設事業、自社不動産活用によるCRE戦略、再生可能エネルギー発電などを柱とするストックビジネスにも800億円を投資する計画。再エネ事業では再エネ由来の電気を直接自動化して提供するコーポレートPPAなどの制度利用、卒FIT電源の活用による収益性の改善と事業期間の延長などを図る。いずれもマイナー出資を基本とし、EPC(設計・調達・建設)案件の獲得にもつなげる考えで、安定収益の確保と収益源の多様化によって、景気変動に左右されにくい経営体制を目指す。
社名変更については、社員のモチベーション向上を重視。石橋社長は「100周年に向けて責任を担う若手・中堅社員が当事者意識を持てる会社でありたい」とコメント。広報活動の強化にも意欲を示し、「BtoC企業ではないが、就職活動など対外発信の重要性が増す。社名変更を一過性にせず、価値向上の契機にしたい」と述べた。
売上高1・0%増の4739億円で増収増益
同社の2025年3月期決算は、連結売上高は前期比1・0%増の4739億5400万円、経常利益は4・9%増の444億3400万円、当期純利益は3・1%増の288億8300万円となり、4期連続増収、3期連続増益を更新した。
首都圏や九州の再開発、半導体・物流施設関連工事の受注が堅調で、4期連続の増収増益となった。2026年3月期は売上高3・4%増の4900億円、経常利益6・9%増の475億円、当期純利益10・8%増の320億円を見込む。