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顧客ニーズ捉えて岩田屋との「協働」推進  武宮徹郎 株式会社三越福岡店長    統合効果で今期は増収目指す


 4月1日付で株式会社三越と株式会社伊勢丹が経営統合、三越福岡店(福岡市中央区天神2丁目、武宮徹郎店長)と伊勢丹グループの株式会社岩田屋(同町、速水俊夫社長)との「協働」がスタートした。3月1日に就任した武宮新店長に店舗運営の方針を聞いた。
 ―2月期の売上高は。
 武宮 前年比で若干マイナスだった。四半期では、第1四半期がマイナス、第2、第3四半期がプラスで、第3四半期時点では「前年をクリアできるかな」と思っていたが、12月の後半から厳しくなった。ユーロ高での価格上昇などによるラグジュアリーブランドの不振が要因。
 ―今期の目標は。
 武宮 伊勢丹との経営統合で、決算期が3月になる。今期は13カ月の変則決算だが、同期間比で1~2%の増収を目指している。
 ―福岡では岩田屋との「協働」がスタートしたが。
 武宮 サービス面は、ベビーカーや車椅子の共通利用、あるいは買った品物を両店で受け取れるポーターサービスなどが好評。カードの統合は、本社サイドで数年後には統一していくという方向性は決まっている。要望も多いので、早い時期に実現したい。外商については、互いが持つブランドへ、顧客を案内することから始めている。今後は要望を聞きながら、グループ全体として判断していく。
 ―両店が共存する体制については。
 武宮 よく言われるブランドの住み分けだが、住み分け自体が統合の目的ではないと思う。両店で同一ブランドもあるが、それぞれの店で買われている方は何らかの理由があるはずで、単に効率だけで一つにまとめる考え方で進めてはいけないと思う。今後入るブランドについては調整するが、現在の来店客をこちらで選別するつもりはない。岩田屋とは同じグループになったが、団体スポーツのようなもの。同じチームの仲間であり同時に競い合うところもある。
 ―今後の競合については。
 武宮 エリア内の競争は、より厳しくなっていくだろう。ただ、競争が激化するのは、それだけ地域に魅力があること。我々百貨店の歴史を見ても、競争によって成長してきた面がある。そして来店客が増えると、そこからの情報も増える。それをいかにいち早く商売に生かしていくかが競争。そのスピード感覚が店の魅力につながっていくと思う。また、阪急百貨店の進出を控え、岩田屋とタッグを組めるのは時期的にも良かったと思う。
(たけみや・てつろう 1951年5月30日生まれの56歳、東京都渋谷区生まれ、慶應義塾大学商学部卒業。74年株式会社三越入社、91年本店婦人部用品部課長、96年横浜店営業第三部ゼネラルマネージャー、98年本社経営企画室経営職、2004年九州カンパニー福岡店副店長、08年3月から執行役員福岡店長。趣味はスポーツ観戦と散歩)。(詳細は「ふくおか経済」5月号(237号)に掲載)