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若松区に商用EV専用組み立て工場を建設 EVモーターズ・ジャパン


週刊経済2022年10月18日発行

来年秋稼働へ

商用EV(電気自動車)や充電ステーションの組み立て、販売・メンテナンス事業などを展開する㈱EVモーターズ・ジャパン(北九州市若松区白山1丁目、佐藤裕之社長)は10月4日、同市若松区に商用EV専用の組み立て工場を建設すると発表した。来年1月着工し、秋の稼働を目指す。総投資額は約40億円を見込んでいる。
国のカーボンニュートラル政策の加速化やウクライナ情勢を背景にした原油価格の高騰などを背景に、EVの需要が商用車でも高まっていることから、本社のある北九州市に工場建設を決定した。場所は国道495号沿い、脇之浦漁港近く。敷地面積は約5万5千㎡。鉄骨造り平屋建ての組み立て工場(約4千㎡)をはじめ、完成車両のテストコース、実証実験や自動運転などのテストコースを設けるほか、リユースバッテリーの組み立てや充電設備などを整備する。また、工場には見学コースや資料館、見学者が試乗や試運転ができる体験コーナーなども設ける。名称は「ゼロエミッションe―PARK」。施設には屋根や壁面にフレキシブル太陽光パネルを設置するほか、中小型風力発電システムを導入し、再生可能エネルギーによる自立発電での稼働を目指す。組立工場から先行して建設し、順次、完成車両のテストコース、実証実験や自動運転などのテストコースなどを整備する。工場ではOEMパートナー企業から半完成品、パーツ類を輸入し、コミュニティバス仕様の小型バスや路線バス仕様の大型バス、物流用トラック、デリバリー用の自動3輪タイプのトライク、4人~6人用のスローモビリティなど同社が取り扱うすべてのEVを組み立てる。当初は数台でスタートし、最終的には年間1500台の生産を目指す。工場稼働に伴う新規雇用は50人~100人まで増員する予定。
佐藤社長は「国の脱炭素化に向けた政策が加速していることや、ウクライナ情勢を背景にEVに対するニーズは一気に増えてきた。全国バス協会も国産EVバスの生産を全面的に後押しする動きがみられることから自社工場の建設に踏み切った」と工場建設の経緯を説明、「施設には見学コースやEVを体感できるコーナーを設けることで、多くの人がEVに対する認識や親しみ、理解を深める複合施設として整備していきたい」と話している。
同社は2019年4月設立。資本金は29億6520万円。これまでEVバスを中国で組み立て、日本に輸入。環境関連のイベントにデモンストレーションとして出展しているほか、沖縄県や愛媛県ではバス会社のコミュニティバスとして、熊本県球磨村では朝夕のスクールバス、災害時には蓄電池として活用されている。また、10月には北九州市が同市八幡東区で進める「東田MaaSプロジェクト」の一環で実施される「近未来都市東田地区回遊モビリティ実証事業」で小型コミュニティバスに採用され、10月8日から11月6日までの期間、東田・枝光・中央町のルートを運行する。