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自己処理型水洗トイレがグッドデザイン賞 ニシム電子工業
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週刊経済2024年11月27日発行号
防災の観点で評価
ニシム電子工業㈱(福岡市博多区美野島1丁目、山科秀之社長)の自己処理型水洗トイレ「トワイレ」が10月16日、「グッドデザイン賞」を受賞した。
今回受賞した「トワイレ」は、防災を目的に2017年から開発に着手しており、現在全国で約20台を販売。今年1月に発生した能登半島地震や、2019年の九州北部豪雨の被災地でも使用された。特徴としては浄化装置でし尿を処理し、洗浄水として再利用するため汲み取り回数が大幅に低減する。浄化槽埋設工事や配管工事が不要で、上下水道や商用電源がなくても利用可能。遠隔でトイレ状況を確認できるなど災害発生時にライフラインが止まっても使用できる。今回の応募に際して、水の浄化処理の仕組みを見直し処理能力を上げることで、1日の利用可能回数を100回から288回まで増やすことができた。また、汲み取り回数も従来の仮設トイレと比較すると2分の1になった。製品のラインナップも増やし、トラックで移動可能な軽量鉄骨造のプレハブハウス型、牽引車にて運べる木造のトレーラーハウス型、RC造りの常設型と、ニーズに合わせた選択を可能にした。現在は、公園や工事現場、海水浴場やキャンプ場などのレジャースポット、離島などで、常設トイレや災害時の対策として導入されている。トイレの個室数などはカスタマイズ可能で、費用は顧客のニーズに合わせて見積もりを出す。
「グッドデザイン賞」は公益財団法人日本デザイン振興会が運営しており、有形無形問わず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いた物事をデザインととらえ、その質を評価、表彰するもの。今回の受賞に携わった営業統括本部産業ソリューション営業部の山野茉由さんは「能登半島地震の発生で全国の防災意識がさらに高まり、被災地のトイレ事情にも注目が集まったことを背景に今回の応募に踏み切った。トワイレを各県に最低1台設置できれば国内のどこで災害が起こっても支援することができる。認知度のある賞を受賞したことで、商品を知っていただくきっかけになれば」とした。