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紙おむつリサイクルの新技術実用化を目指す 福岡女子大学とトータルケア・システム


週刊経済2025年5月28日発行号

産学連携協定を締結

公立大学法人福岡女子大学(福岡市東区香住ヶ丘1丁目、向井剛学長)と紙おむつリサイクル事業などのトータルケア・システム㈱(同市博多区井相田1丁目、長武志社長)は5月19日、紙おむつリサイクルの新技術実用化を目指す産学連携協定を締結した。

現在、使用済み紙おむつはほとんどが焼却処理されているが、水分を含んでいることから多量の石油燃料を用いる必要があるほか、焼却炉を痛める原因になるなどの理由で全国的にリサイクルへの関心が高まっている。紙おむつを構成する主な素材は、パルプ紙が約50%、プラスチックが約30%、高吸水性樹脂が約20%で、現在のリサイクル工程では化学薬品によって高吸水性樹脂の吸水特性を失活させてパルプと高吸水性樹脂を分離している。同大学では、吉村利夫教授と学生が化学薬品を使わずにパルプと高吸水性樹脂を効率的に分離する手法を今年2月に開発。約10年前から共同研究などでつながりがあった紙おむつリサイクルの先駆けである同社に実用化に向けた連携を打診した。この手法は同大学が特許を出願済みであり、来年5月までの権利化を目指している。

また、同大学では環境分野やデジタル分野で活躍する人材の育成を目指し2027年4月に環境理工学科(仮称)と生活情報工学科(同)を新設予定で、今後同社からの講師派遣やインターンシップなどを通じて、地域の環境課題に取り組む人材の育成も効果的に推進していく。