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直方市でパワー半導体向け封止材の研究・開発を強化 住友ベークライト・九州住友ベークライト
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週刊経済2025年3月5日発行号
最新設備導入で
樹脂加工メーカー・国内最大手の住友ベークライト㈱(東京都品川区、藤原一彦社長)と生産子会社の九州住友ベークライト㈱(直方市上境、倉知圭介社長)は、直方市でパワー半導体向け封止材の研究・開発を強化している。
2021年11月22日付でグリーンアジア国際戦略総合特区の指定法人を受けた両社は昨年11月までに同市上境にある住友ベークライト㈱の情報通信材料研究所に5台、生産を担う九州住友ベークライト㈱に3台の計8台を導入。研究開発、生産それぞれに新たな設備を導入したことで、今後もさらなる需要が見込まれる封止材の研究開発、量産化を強化している。同社が生産を手掛ける半導体封止材・スミコンⓇEMEは、同社の推定で世界トップシェアを有しており、高信頼性が求められるロジック半導体、パワー半導体およびSiP(複数のLSIチップを一つのパッケージ内に封止した半導体製品)など先端半導体パッケージング分野においても高いシェアを保持している。また、同社が生産する封止材顆粒形状の製品であるスミコンⓇEMEVersionGRは、先端半導体のパッケージに対する優れた成形性を特徴としているが、市場の拡大とより高度な品質が求められており、タブレット形状製品に加えて需要が増えている。そのため、高機能製品については日本国内で対応、情報通信材料研究所で研究開発し、量産ラインを九州住友ベークライト㈱に設置、直方を最新封止材の研究開発、量産化のマザー拠点とし、アジア、北米、欧州など全世界で事業を展開する。現在、九州住友ベークライト㈱では月産数百トンの封止材を生産しており、半導体の生産個数に比例し、封止材の生産量も増加しているという。
今後、AI製品、パワー半導体、モビリティの3分野を強化領域と位置づけ、封止材をメインに高放熱接着剤や感光性樹脂などの受注拡大に力を入れていきたいとしている。