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戸畑キャンパスに100周年記念の多目的施設  九州工業大学    OBの故中村孝氏の寄付活用


 国立大学法人九州工業大学(北九州市戸畑区仙水町、松永守央学長)が同所戸畑キャンパス内に建設していた2階建ての多目的施設「百周年中村記念館」が3月16日、完成した。
 同大の前身、明治専門学校を1940年に卒業した株式会社電元社製作所(神奈川県川崎市)元代表取締役の故中村孝氏が、2009年の創立100周年を祝うために生前に贈った寄付金を活用し、研究教育の促進や地域の産業界の発展を目的に建てられた。場所は附属図書館(本館)の隣で、建築面積1022平方m、延べ床面積1447平方m。1階は、同窓会組織の明専会事務室や68席のカフェレストラン「カフェ ド ルージュブラン」、多目的スペースの「フォーラム」を設置。さらに中村氏と、OBで竜巻研究の世界的権威である藤田哲也理学博士の業績をたたえるギャラリーも開設した。2階は150人収容の多目的ホール(294平方m)と、定員50人の特別会議室(96平方m)があり、会議、イベントなどで利用していない日は一般にも貸し出す。同大では「母校の永続を願った中村氏の想いを継承し、在学生・卒業生だけでなく、企業や地域の方も利用できる本学の新しいシンボルとして、多くの方に親しんでいただきたい」と話している。
 中村氏は1917年山口県徳山市出身。40年明治専門学校を卒業後、三菱重工業名古屋航空機製作所へ入社。45年フタバ産業の設立に参加し、終始抵抗溶接技術の研究と溶接機器の開発に携わったほか、製鉄向けの高度な溶接装置の開発に着手。広幅ストリップ用全自動フラッシュ溶接機をはじめとした一連のストリップ接続用装置を完成させた。50年電元社製作所へ入社し、取締役技術部長、常務、専務、代表取締役を歴任。62年「点溶接における加圧力の実験的研究」で大阪大学工学博士。65年溶接学会の「溶接機器の開発に貢献した功績」を受賞、77年黄綬褒章、88年勲五等旭日賞、89年紺綬褒章を受章した。88~96年には九工大同窓会組織の明専会会長を務め、2009年に逝去している。