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官民共同による「地域脱炭素プロジェクト」を実施 吉富町


週刊経済2022年3月1日発行

ESG投資を活用し、PPA事業

吉富町(花畑明町長)は、昨年10月21日に包括連携協定を締結した㈱LOCAL2(東京都港区白金台2丁目、岸本公平社長)、㈱シェアリングエネルギー(同港区新橋1丁目、上村一行社長)と連携し、官民共同による「地域脱炭素プロジェクト」をスタートしている。
大分県中津市に隣接する同町は、周防灘に面した平野部にあり、町域はわずか5・7㎢。SDGsを掲げた町政運営を進める中、地方創生事業を展開するLOCAL2が運営する官民パートナーシップのプラットホーム・「ONE FUKUOKA」のマッチング活動を通じ、全国で「シェアでんき」事業を展開する㈱シェアリングエネルギーと協議を開始、プロジェクトを実施するもの。㈱シェアリングエネルギーによるESG投資を受け、町の公共施設(6カ所)、町内3千世帯の屋根に太陽光パネルを設置し、PPA(電力販売契約)の手法を活用した電力創出を目指す。太陽光発電システムに伴うESG投資は3年間で36億円。来年度中には町有6施設への設置を完了させるほか、一般の世帯には地域おこし協力隊が各世帯を回り、設置可能な条件を満たした住宅(新築、既存含む)に設置を呼びかける。設置後は防災用電源として活用するほか、発電した電気は1キロワットあたり22円で利用できる。運用期間は10年間。11年目以降は発電時の電気は無料で利用でき、売電益はパネルを設置した町、各世帯に帰属するため、町にとっては新たな自主財源、町民にとっては売電収入が得られるメリットが期待されている。3者が発表した資料によると、脱炭素化が進めば年間予想発電量は約10・5万キロワットに相当し、年間約4トンのCO2削減(同町の約3倍の面積に相当)効果が期待されている。
同町未来まちづくり課の太田恵介まちづくり戦略係長は「九州一面積が小さく、森林面積ゼロの吉富町がSDGsを実践する上で最も有効な手段となるのがPPA。官民連携による地域脱炭素プロジェクトとして取り組みを進めていきたい」としている。