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太陽光PPAモデル発電容量が全国40MW突破 新出光
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週刊経済2025年6月25日発行号
158件目の千葉の物流センターへの設置で
石油製品販売大手の㈱新出光(福岡市博多区上呉服町、出光泰典社長兼グループCEO)は5月27日、初期費用のかからない太陽光発電システム第三者所有モデル(通称・PPAモデル)サービス「0plan(ゼロプラン)」で全国に設置する発電設備の発電容量が40MWを突破したと発表した。
同社では脱炭素を目指して2018年からゼロプランの提供を開始し、このほど158件目となるエア・ウォーター物流㈱(札幌市、佐藤能衞社長)の千葉低温センターへの設置で40MWを突破した。今回設置した太陽光発電設備の発電容量は347kW。設置に伴い同施設で使用する電気の一部を、CO2を排出しない再エネ電気に置き換えることが可能となり、年間のCO2削減量は約180tを見込んでいる。
ゼロプランは建物の屋根や駐車場、遊休地に新出光が太陽光発電設備を無償設置し、そこで作られた再エネの電力を利用してもらい、その使用量に応じて料金を請求するサービス。不具合があった場合の対応費用や保守費用も全て新出光が負担する。導入先は電気代軽減だけでなく再エネ活用といった社会貢献もできるため、工場や商業施設、ビル屋上など大型案件への実績も着々と増しており、同社では外部資金を導入したスキームも活用して投資枠を広げている。
熊本県八代市の社有林でJ‐クレジット創出
また、同社を中核とするイデックスグループの不動産事業会社・新出光不動産㈱(福岡市博多区上呉服町、川端清人社長)は5月、所有する熊本県八代市の社有林約50haを活用して森林由来のJ‐クレジットの創出プロジェクトを開始した。
同プロジェクトは京都大学発の森林解析ベンチャー・DeepForest Technologies㈱(以下ディープフォレスト社、京都市、大西信德代表取締役)と連携し、その解析結果をもとに社有林が有するCO2吸収量を社会的な価値としてクレジット化する取り組み。ディープフォレスト社のAI解析やレーザドローンによる高精度な森林測量データを活用することで「森林資源の見える化」を実現し、10年間で約1400t‐CO2のクレジット創出を見込んでいる。創出したクレジットはイデックスグループ内でのカーボンオフセットに使用する予定。
八代市の社有林は、元々主伐を目的として取得・管理していたが、2020年の豪雨災害時に一部で土砂崩れなどが発生し、山林の状況把握が困難になっていた。そこで、23年度にディープフォレスト社の解析技術を活用し、樹種や樹高、材積といった詳細な情報を可視化。この解析結果をもとに、J‐クレジット制度(方法論:FO‐001)に登録した。すでに地位特定に必要な条件を満たしており、今後は追加データを取得することなく、クレジットの発行が可能となる。新出光不動産とディープフォレスト社では今後、同プロジェクトを中心として熊本県内の森林の保全活動や有効活用の取り組みを進めていく方針。