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売上高が1・2%減の994億5900万円 第一交通産業


週刊経済2025年5月21日発行号

4期ぶりの減収、2期ぶりの増益

タクシー大手の第一交通産業㈱(北九州市小倉北区馬借2丁目、田中亮一郎社長)の2025年3月期連結決算は、売上高が前年同期比1・2%減の994億5900万円、経常利益がほぼ横ばいの40億1000万円だった。

移動需要の回復、および運賃改定でタクシー、バス事業が増収だったものの、不動産分譲事業で分譲マンションの新規完成物件数の反動減が影響し、4期ぶりに減収。利益面は、バス事業の黒字転換などで経常利益が前期比200万円増と2期ぶりの増益だったものの、営業利益が0・3%減の30億4500万円と4期ぶりの減益だった。当期純利益は前期に特別損失を計上した反動減で、91%増の17億5600万円。

主力のタクシー事業は、需要回復と運賃改定の進展で売上高が517億9300万円(2・8%増)だったものの、乗務員採用強化や教育など人的投資やGX投資の促進に加え、燃料価格の高騰、車両のEV化などが影響し前期8億5000万円だったセグメント損失が23億2000万円の赤字に拡大した。また、バス事業は、沖縄県を中心に団体旅行やインバウンド需要の回復などで輸送人員が増加し売上高が72億5500万円(10・8%増)、セグメント利益が4億4800万円(前期は2億7100万円の赤字)と黒字に転換した。

一方、不動産分譲事業は、前期の分譲マンション新規完成物件数の反動で、売上高が13・1%減の254億2100万円、セグメント利益が64・8%増の26億2900万円。不動産賃貸事業は、オフィス、飲食ビルなどで高入居率を維持している一方、大型商業施設の一時退店などの影響で売上高が6・8%減の48億6600万円、セグメント利益が6・9%減の23億3300万円。不動産再生事業は、東京都新宿区の不動産、那覇市の再開発に向けた土地の売却などで売上高が6%増の43億3300万円、セグメント利益が27・3%増の7億6600万円。不動産金融事業は不動産担保融資の新規貸付による受取手数料の増加で、売上高が6・5%増の10億5900万円、セグメント利益が16・4%減の5億2800万円。自動車の点検、整備、LPGの販売、パーキングなどそのほかの事業は、売上高が11・2%増の47億3200万円、セグメント損失は11億4100万円(9億9200万円の赤字)だった。

26年3月期は、アメリカの通商政策の影響や、原材料価格、物価の上昇で国内個人消費の足踏みが予想されるものの、インバウンド含めた移動需要の回復を見込み、売上高が10・6%増の1100億円、経常利益が2・2%増の41億円、営業利益が23・1%増の37億5000万円、当期純利益が25・3%増の22億円を見込んでいる。