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全国初の「特区特例ファンド」に認定 みなと投資


週刊経済2025年4月23日発行号

VCファンドへの出資規制緩和を活用

昨年7月に設立の投資会社、みなと投資㈱(福岡市中央区大名、小板橋達也社長)は3月11日、福岡県・福岡市が認定を受けた「金融・資産運用特区」を活用し、全国初の「特区特例ファンド」に認定された。

昨年6月に特区認定を受けた際、福岡県・福岡市が唯一の地域限定の特例措置として勝ち取ったのが、「プロ向けのVCファンドへ出資可能な投資家に関する規制の緩和」。VCファンドは、成長著しいスタートアップ・ベンチャーの資金需要を支え、上場までの道程をサポートする目的で活用されるケースが大半だが、ファンドを立ち上げる際には、出資総額の1/2以上を金融機関や一定の金融資産を有する超富裕層等の「プロ投資家」が占めるように定められており、個人投資家らの出資額は制限されていた。今回の地域限定の特例措置では、M&AやIPOの実務経験がある者や資産管理会社等については、この適用を除外することを認めており、地域限定で「個人投資家中心のファンド」を組成することが可能となった。ベンチャーへの資金供給機会の拡大はもちろん、投資会社や金融機関がファンドを立ち上げる際のハードルも大きく引き下げられることになる。

同社は制度を活用し、企業ごとに用途を絞り込んだVCファンドを複数立ち上げることを目標に掲げる。具体的には、事業承継や従業員の「持株会」等の目的に応じたファンドの活用も、特例を使えば可能になるという。早くから特区の活用を明言してきた小板橋社長は、「私たちのような新興の投資会社にとっては願ってもない制度。未上場企業への投資の間口が広がることで、スタートアップ支援の機運が醸成される機会になり得る」と制度への期待を語っている。